不妊症

【症状】妊娠を望んでいるのに2年以上妊娠しない

「不妊症」とは、産婦人科的には「定期的な性生活を送り、特に避妊などをしていないのに、2年以上妊娠しない場合」を言います。日本では夫婦の約10組に1組が不妊症と言われています。 ちなみに、不妊症の疑いがない男女が排卵日に性交をしても、妊娠する確率は約2割と言われています。

また妊娠率は加齢とともに低くなる傾向があります。つまり歳を重ねれば重ねるほど、妊娠はしにくくなります。最近は晩婚化が進んでいるため、不妊症に悩む夫婦も増えているようです。

【原因】女性・男性の両方に原因の可能性

不妊の原因は女性・男性ともにあり、その割合は、女性のみ・男性のみ・双方ともに原因がある場合が約3割ずつと言われています。つまり不妊の原因はひとつとは限らないのです。

女性側の主な原因
不妊症の初期サイン
  • 生理周期が長い(33日以上)
  • 生理周期が短い(26日以下)
  • 生理周期が不安定
卵巣機能の状態
  • 排卵のトラブル…PCOS(多のう性卵巣症候群)、高プロラクチン血症、無排卵、排卵回数が少ない
  • 思うように採卵できない。変性卵が多い
  • 卵巣ホルモン分泌の異常
性腺刺激ホルモンの分泌低下
その他の内分泌腺の機能異常
卵管障害

卵管腔に障害があり、卵子と精子が出会えない

子宮の異常
  • 子宮の高度な発育不全や奇形
  • 子宮内膜の増殖異常や炎症、子宮内膜症
  • 子宮筋腫、粘膜下筋腫
膣の異常
  • 強い炎症
  • その他
全身性疾患
男性側の主な原因
性交障害、勃起不全
精管通過障害

精子の通り道がふさがっている

精子の異常
  • 精子過少症、無精子症
  • 精子無力症…元気な精子が少ない
全身性疾患
過度の疲労、過剰な飲酒や喫煙
男女間の原因
抗精子抗体

性交により女性の体内に精子が入ると、それに対する免疫反応として、抗体ができてしまう

【考え方】生命エネルギーの源「腎精」が不足

不妊症は腎虚、すなわち精を蔵し、生長・発育・生殖をつかさどる臓である「腎」の気が衰えたために起こると考えます。

生命エネルギーの源になる物質を、漢方では「精」と言います。この精が、腎に蓄えられたものが「腎精」(じんせい)です。腎精が充分な状態なら、妊娠・出産や精子は正常に機能しますが、腎精が不足すると、不妊、閉経、精子減少症、卵子の老化などといった症状が現れます。

【処方例】不足した腎精を補います

腎精は老化、ストレスなどによって不足し、「腎虚」(じんきょ)の状態になります。したがって、不妊治療には腎精を補う「補益腎薬」(ほえきじんやく…鹿茸〈ろくじょう〉、菟糸子〈としし〉など)を使います。

女性不妊の処方例

女性では、月経周期を28日に近づけることが目標となります。

経血にレバー状の塊がある「瘀血」(おけつ)の症状がみられる場合、まずは瘀血を治します。

高プロラクチン血症、月経前症候群などの生理に付随した諸症状は、卵子の発育、排卵や卵子の運搬にも影響があるため、これらの症状を改善しながら、妊娠しやすい体質作りをしていきます。

仕事時間が長かったり、疲れたりすると「腎精」(じんせい)を消耗します。良質な卵子をつくるために、気と血、腎精が十分な状態にしておく必要があります。排卵誘発剤を使ってもうまく排卵できないときや変性卵が多いときは、腎精の不足が考えられます。

PCOS(多のう胞性卵巣症候群)の場合は、周期が長くなる傾向もあるので基本的には血流を良くする漢方薬を使います。症状や体質に応じてさらに腎精を補う漢方薬やストレス対応の漢方薬を使うこともあります。

女性の場合、月経周期にあわせて身体の状態がよく現れます。基礎体温表は漢方薬選びに大変役に立ちますので、ご来店・ご相談の際は、ぜひご持参ください。

 

男性不妊の処方例

男性では、ストレスの過多のほか、アルコールの飲み過ぎが原因で腎虚になる場合があります。治療には、「疏肝薬」(そかんやく…肝の気をよく巡らせる薬。柴胡〈さいこ〉など)や「理気薬」(りきやく…気の流れをよくする薬。陳皮〈ちんぴ〉、香附子〈こうぶし〉など)を使います。勃起不全には、血流をよくする「活血薬」(かっけつやく…紅花〈こうか〉、川芎〈せんきゅう〉など)を使います。