神経症/不安神経症/パニック障害

【症状】不安な精神状態の症候群

神経症とは、脳をはじめとする身体に何の障害も病気もないも関わらず、不安になったり、身体が不調になったりするなど、心身に障害が起きた状態を言います。ノイローゼとも呼ばれていますが、不安障害、恐慌性障害(パニック障害)、解離・転換性障害など、症状によっていくつかに分類できます。いずれも症状が重複していることが多く、根元に「不安感」があるという点が共通しています。身体医学的にいろいろな検査を行っても、患者が訴えるような病気的な所見が見られない場合が多いことも大きな特徴です。

代表的な神経症の種類
全般性不安障害

直接の理由がないのに不安感を抱き続けてしまい、ふるえ、鳥肌、冷や汗、動悸、呼吸困難といった自律神経失調の症状が表れます。日常生活に支障を来す場合もあります。

恐慌性障害(パニック障害)

突然、理由もわからず、動悸や呼吸困難、めまい、四肢硬直といった症状とともに強い不安感に襲われ、「このままでは死んでしまう」と混乱状態に落ちいってしまう障害です。多くの場合、1時間以内におさまりますが、「また発作を起こしたらどうしよう」という不安(予期不安)が生まれ、大勢の人が集まる場所や過去に発作を起こした場所に恐怖や不安を感じ、その場所を避けてしまう「広場恐怖(外出恐怖)」になることがあります。

解離・転換性障害(ヒステリー)

本人は自覚していない心の葛藤や欲求不満が、突然人前で身体症状や精神症状として現れます。歩けない、立てない、目が見えない、耳が聞こえない、感覚が麻痺するといった症状が他人の目の前で生じます。

【原因】社会環境、そして自身の性格が要因に

神経症の原因は、一般的には心理的な出来事と言われています。しかし実際には、社会的あるいは環境的なさまざまな要素が複雑に絡み合っていて、原因となる出来事を特定できないこともあります。また、過労や睡眠不足、風邪など、一般的な身体的不調がきっかけで発症することもあります。日常生活上のさまざまなストレスを背景に、いつのまにか発症しているというのが多いようです。

さらに、神経症になりやすい性格も存在します。

神経症になりやすい性格
  1. まじめで自己内省的
  2. 執着心が強く完全主義
  3. 感受性が強く心配性
  4. 努力家で几帳面

こういった性格の人は、自信の欠落や劣等感を抱きやすくなり、大きなストレスと不安を感じて神経症を発症することがあります。

【考え方】「肝」を整え、気の流れをスムーズにします

神経症の場合、漢方では五臓の一つである「肝」の働きを重要視します。「肝」の作用は、気を全身に巡らせること。イライラすると「肝鬱気滞」(かんうつきたい…肝気の流れがスムーズに行かないこと)となってしまいます。初期段階では、肩こりや首筋のこりといった症状が出ますが、さらに続くと胸の圧迫感、息苦しさといった症状も現れます。
この肝鬱が日常的に続いてしまうと、神明を司る(精神活動をコントロールする)臓と言われる「心」が不調となり、不安感、動悸、不眠といった症状が現れます。元々胃腸が弱い方の場合、肝が脾を弱めて下痢になる場合もあります。

【処方例】自律神経の不調は、漢方では肝胆の病と言われています。症状はお一人お一人の症状が多岐に渡るのが大きな特徴です。

治療には、肝気を良く巡らせるための「疎肝理気薬」(そかんりきやく…柴胡〈さいこ〉、芍薬〈しゃくやく〉など)や精神を安定させる「安神薬」(あんしんやく…竜骨〈りゅうこつ〉、牡蠣〈ぼれい〉、酸棗仁〈さんそうにん〉、遠志〈おんじ〉など)、気を補う「補気薬」(ほきやく…人参など)などをそれぞれの症状にあわせ組み合わせます。また、じっくり・しっかりお話を伺うのも処方のうちと考えております。