耳鳴り・めまい

【症状】音がないのに聞こえたり、目が回ったり…

耳鳴りとめまいは、症状としては別のものですが、同時に発症することが多い病気です。突然、めまいや難聴、耳鳴り、嘔吐といった症状が発作的に起きる「メニエール病」のように、ひとつの疾患が原因で耳鳴り・めまいの両方が同時に引き起こされることが多いようです。

耳鳴り

耳鳴りとは、自分の周囲には音がしていないのに耳の中で音が聞こえる状態です。その聞こえ方(音の高低や大小、強弱など)には個人差があります。また耳鳴りは自覚的な症状であるため、検査は難しいのが現状です。なお、深夜や何もない空間など、音のない環境で起こる耳鳴りは、誰にでも起こる生理的なものなので心配いりません。

耳鳴りは、以下の2つに大別できます。

自覚的耳鳴

外で音がしていないのに音が聞こえる状態ですが、現実には音がありません。内耳から脳に至る聴覚経路のどこかで、外からの音に関係なく、聴覚の神経が活性化されることで生じていると思われます。いわゆる耳鳴りの大多数を占めます。

他覚的耳鳴

外では音はしていませんが、患者の体の耳付近や耳管などで実際に何らかの音がしていて、それが聴こえている状態です。筋肉の痙攣などによって起こります。

めまい

めまいは、目がまわったり、身体が回ったりするなど、平衡感覚を失った状態を言います。休養や睡眠をとって体調が回復すると症状が治まっていきますが、休養しても治らず慢性化する人もいます。「まためまいが起こるかも…」と不安を感じてしまい、外出できない状況に陥る場合もあります。

めまいの症状も個人差が大きい傾向にありますが、次の4つのタイプに大別できます。多くの場合は一時的なものですが、症状が持続する場合もあります。

回転性のめまい

自分や周囲のものがぐるぐる回る。まっすぐ歩けず、立つことも困難に。吐き気をもよおすこともあります。「良性発作性頭位めまい症」の場合、頭を動かしたり頭がある特定の位置に移動したりすると、この症状が起こります。

非回転性のめまい

周囲や自分のからだがふわふわゆれる感じがします。症状が長く続くことが多いようです。

平衡失調

歩行中にふらついてしまいます。身体が左右に揺れ、バランス感覚を失って転倒しやすくなります。

立ちくらみ

立ち上がった途端に、目の前が真っ暗になります。高血圧・低血圧などの全身的な疾患、起立性低血圧症、ストレス、蓄積疲労などの場合、この症状が起こります。

【原因】耳の病気のほかに、心理的要因も

耳鳴りもめまいも原因がはっきりしない場合が多い病気ですが、一般的には以下の原因が考えられます。

耳鳴り・めまいの主な原因
耳の病気

外耳炎、中耳炎、耳垢栓塞、突発性難聴、前庭神経炎など、ほかの耳の病気のひとつの症状、あるいは前兆として現れます。「良性発作性頭位めまい症」は、内耳の前庭という場所にある「耳石」がはがれ、身体のバランスを保つ器官である三半規管に入り込んでしまうのが原因です。また「メニエール病」の原因ははっきりわかっていませんが、患者は必ず内耳が水ぶくれ状態(内リンパ水腫)になっています。

耳以外の病気

高血圧などの循環器疾患、糖尿病、脳血管障害などが挙げられます。

心理的要因

過度のストレス、不安など。メニエール病は、心身のストレスや不規則な生活、睡眠不足などが引き金となって発症すると言われています。

中枢障害

自律神経失調症、更年期障害などが挙げられます。

【考え方】「腎」と「肝」、二つの原因

耳鳴りは、漢方では気の巡りをつかさどる臓である「肝」の失調によるものと、体内の水(水液)の運行をつかさどる臓である「腎」の失調によるものがあると考えます。

「肝」の耳鳴りは、過度のストレスなどにより肝血(陰)を消耗して「肝陽上亢」(かんようじょうこう…気が昇り過ぎる状態)になることから起こります。「キーン」という高い金属音の様な音がすることが多い傾向にあります。

「腎」の耳鳴りは加齢によることが多く、「ジージー」とセミの鳴くような音や、低い音が鳴るのが特徴です。「腎精」(じんせい…五臓六腑に栄養を送り、人体の成長・発育を促進させたり、生命活動を維持したりするのに必要不可欠な物質)の不足により栄養が全身に行き渡らないと、腎と密接な関係にある耳に症状が出るのです。

めまいも同様の原因で起こりますが、めまいのもう一つの原因として胃腸の機能が上手く働かず、水分代謝が滞り、体内に余分な水分が溜まって痰になる「痰湿」(たんしつ)も挙げられます。

【処方例】原因に応じて二種類の処方を

肝の耳鳴り・めまいには、「疎肝理気薬」(そかんりきやく…柴胡〈さいこ〉、芍薬〈しゃくやく〉など)を中心に処方します。

腎の耳鳴り・めまいには、精を補う「補腎薬」(ほじんやく)を中心に使います。痰湿が原因の場合には、体内の余分な水分を排出させる「化湿」(けしつ)の漢方薬を使います。