【症状】卵巣に腫れができた状態

卵巣は、臓器の中でも比較的腫瘍ができやすいと言われています。多くの場合、卵巣の片側に発生しますが、両側に発生することもあります。卵巣腫瘍中でも、分泌液のような液状のものでできているものが「卵巣嚢腫(のうしゅ)」です。

卵巣は腫れものが比較的できやすい臓器と言われています。卵巣嚢腫は、たまった分泌液の種類によっていくつかに分類されますが、ほとんどが良性のものです。

卵巣嚢腫は自覚しにくい病気で、嚢腫がかなり大きくならないと症状が現れないのが普通です。初期はお腹がふくれたり圧迫感があったりしますが、痛みはありません。しかし進行してくると、腫れが大きくなって卵管に癒着したり、下腹痛や腰痛、排尿障害、便秘などを起こしたりすることがあります。また、腫れが回旋して茎部がねじれる「茎捻転」になると、激しい痛みや嘔吐などが生じ、周囲にある腸が癒着を起こして細菌に感染することもあります。

【原因】原因は多様不明な場合も

卵巣嚢腫の種類は多岐に渡り、それぞれ原因は異なりますが、不明なものも多く、具体的な予防法は今のところないようです。

卵巣嚢腫の主な種類と原因
漿液性嚢胞腺腫

嚢胞の中に、さらっとした黄色い透明な液体がたまる腫瘍です。卵巣嚢腫の約25%を占めます。30〜40代に多く見られます。通常はこぶしくらいの大きさですが、膨れると子どもの頭くらいになることもあります。多くの場合、片側の卵巣のみ発生します。

粘液性嚢胞腺腫

嚢胞内部にゼラチン状のネバネバした粘液がたまる腫瘍で、卵巣嚢腫の約20%を占めます。片側の卵巣のみ発生することが多いようです。良性腫瘍ですが、膿疱が破れると腹膜炎を起こすことがあるので注意が必要です。

子宮内膜症性卵巣嚢腫

子宮内膜症が原因で生じる卵巣嚢腫です。卵巣の内部で子宮内膜が増殖して、月経周期に一致して出血を繰り返し、卵巣の中に月経血が毎月たまることで発生します。

成熟嚢胞性奇形腫

嚢胞内部に皮脂、毛髪、歯、軟骨などがたまった腫瘍です。受精卵の始まりの時、皮膚や骨などになるべき部分が、卵巣のできる組織の中に入り込んでしまったものと考えられています。卵巣の両側に発生することもあります。良性の卵巣嚢腫のなかで最も頻度が高く、その半数以上を占めます。 20〜30代に多い傾向にあります。

卵胞嚢胞

なんらかの原因によって、卵胞が一時的に膨らんでしまいますが、時間の経過とともに消失してしまいます。

【考え方】気血の滞りが腫瘍に

漢方では、嚢腫などの腫瘍は体内の余分な水分に熱が加わることでつくられると考えます。その原因となるのが、気の流れや血の流れの「滞り」です。

【処方例】気血の流れをよくし、痰を取り除く

血の流れをよくする「活血化瘀剤」(かっけつかおざい)や、体内の余分な水分を排出させる「利湿」(りしつ)、痰を除く「去痰」(きょたん)の作用のある漢方薬を使います。症状によっては、気の滞りを改善する「疎肝理気」(そかんりき)の処方なども使用します。

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