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【症状】「皮下脂肪型」と「内臓脂肪型」の2種類
体内に脂肪がたまり、標準体重を10%以上オーバーしたものを、一般的に「肥満」と言います。筋肉の発育、妊娠、浮腫による体重の増加は、肥満ではありません。
肥満の度合いはクエートレット指数(BMI=Body Mass Index)で示すことができます。
BMI = 体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
この数値が22程度の人がもっとも健康的で長生きするという統計データがあるため、22から23が正常域と考えられています。日本肥満学会では「25以上が肥満」と定義しています。
肥満症は、体脂肪の蓄積した部位によって以下の2つに分類できます。
皮下脂肪型肥満
主に皮下組織に脂肪が蓄積するタイプの肥満です。お尻や太ももなど下半身の肉づきがよくなるため、外見の印象から「洋ナシ型肥満」とも呼ばれます。女性に比較的多いタイプです。内臓脂肪型肥満のように動脈硬化が発症する心配は高くありませんが、睡眠時無呼吸症候群や関節痛、月経異常などを合併しやすいため、改善が勧められます。
内臓脂肪型肥満
腸管などの内臓の周辺に脂肪が蓄積するタイプの肥満です。お腹が出て、リンゴのようにまるまるとした体型になるため「リンゴ型肥満」とも呼ばれます。30歳以上の男性に多く見られますが、閉経後の女性にも多い傾向があります。また、一見やせていてBMIも25以下だというのに、内臓脂肪がたまってお腹だけぽっこりと出ている「隠れ肥満」には、内臓脂肪型肥満が多いと言われています。極端に食事量を減らしたダイエットをすると、隠れ肥満になることがあります。
※メタボリックシンドローム
インスリン抵抗性耐糖機能異常による高中性脂肪血症、肥満、高血圧、食後高血糖などの、いわゆる生活習慣病を複数発症した場合をメタボリックシンドローム(メタボリック症候群)と言います。内臓脂肪型肥満=メタボと考えてよいでしょう。メタボになると、糖尿病や心筋梗塞、脂質異常などの生活習慣病になる危険が高いことがわかっています。
【原因】食べ過ぎと運動不足
肥満症は、消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーが多い状態、つまり食べ過ぎと運動不足の状態が長期間続くことによって起こります。
食べ過ぎは、以下の原因が考えられます。
食べ過ぎの主な原因
食生活・食習慣
高カロリーな食事、間食、就寝直前の食事、栄養バランスの悪い食事など
ストレス
脳の異常
視床下部や前頭葉の病変による食欲の異常亢進
ごくまれに、副腎脂質ホルモンの過剰分泌によって肥満が起こる場合があります(クッシング症候群)。
【考え方】3つのタイプの肥満
肥満を考える際は、以下の3タイプに分けて考えます。
漢方における肥満のタイプ
水太りタイプ
気が足りず、体の巡りが悪いために体内に余分な水分が蓄積されているタイプ。甘い物好き、冷え症、代謝が悪い人に多い。
脂肪太りタイプ
主に食べ過ぎで、それを処理するために体が常に働き、オーバーヒート状態にある。熱や水分の処理が上手に行われず、体に蓄積されてしまっている。とにかく沢山食べる人、食べる事が好きな人、冷たい物や油っこいものを好む人が多い。
ストレス太りタイプ
ストレスを感じると食欲が増すタイプ。過度のストレスで気が滞っている。
【処方例】原因を突き止めることが重要
大きく3タイプに分けていますが、実際には数多くの原因が考えられます。タイプに応じて漢方薬を処方するだけでなく、そもそもの原因をつきとめることが肥満の改善には有効です。
具体的な処方としては、肥満太りタイプには「防風通聖散」(ぼうふうつうしょうさん)がよく使われます。