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お腹が空いているわけではないのについつい食べてしまう
ストレスが溜まると甘いものや脂っこいものを食べ過ぎてしまう
生理前や生理中についついドカ食いしてしまう…
暴飲暴食の後、すごく後悔してしまうけど辞められない…
こんな症状でお悩みの方は『ストレス過食』かもしれません。
ストレス過食は溜まったストレスやフラストレーションを発散するために、空腹でないにも関わらず過剰に食べてしまうことを指します。
また、ストレス過食は単なる気の緩みや意志の弱さではなく、心身の複雑な相互作用によって引き起こされます。
本記事ではストレスを感じたときに、食べるという行為で紛らわせようとする『ストレス過食』について、原因や症状・メカニズム・適した治療方法について詳しく解説していきます。
また、さまざまな治療の選択肢があるなかで、なぜ漢方薬がストレス過食の改善に最適なのかその理由を詳しくご紹介します。
記事の後半では、ストレス過食のケアによく使われる漢方薬の説明もしています。ぜひ最後までご覧ください。
ストレス過食とは?
「過食=食べ過ぎ」だと思われがちですが、『ストレス過食』は心身に深刻な影響をもたらす「摂食障害(せっしょくしょうがい)」の一種のため、単なる食べ過ぎではありません。

その背景には、精神的なストレスやネガティブな感情(不安・イライラ・寂しさなど)があります。
それを解消するために生理的な空腹とは関係なく「自分では止められない強い衝動に突き動かされ、短時間で異常な量を食べてしまう」病的な症状になります。
そのため、ストレス過食には以下のような特徴があります。
- 空腹でないのに食べたいという欲求が止まらない
- イライラや落ち込みなどの特定の感情と連動して起こる
- 甘いものや脂っこいものを好む
- 食べたあとに罪悪感や後悔を抱く
ストレス過食の原因とは?

ストレス過食になる主な原因は精神的なストレスや無理なダイエットなどが考えられます。
仕事・学業・家庭環境など、さまざまな要因により心身のストレスを感じると、食欲のコントロールができず頻繁に食べたり、一日中食べ続けてしまうことがあります。
これは心の緊張を食事で埋め合わせようとする反応であり、意思の強さとは無関係に起こる体からのサインでもあります。
身近な例で言うと、ダイエットによる厳しい食事制限はリバウンドを誘発します。
目標体重まで到達した途端に、リバウンドで食欲が止まらなくなり逆にダイエット前よりも太ってしまったと言う方や自分で課した無理な食事制限でダイエット半ばリバウンドしてしまいダイエット断念してしまう方などがいます。
また、そのリバウンドによる過食の罪悪感からさらに過度な食事制限をする方もいらっしゃいますが、その反動でさらにストレスが溜まり、やけ食いしては後悔するという負のループに陥ってしまうこともよくあります。

また、生理前や生理中にドカ食いをしてしまうのがお悩みの女性もいるのではないでしょうか。
それは、妊娠に備えて体を脂肪や糖分などの栄養で満たそうとする「黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加」が主な原因で、このホルモンが食欲抑制を効きにくくさせ、満腹感を得にくい体にしています。
特に生理前や生理中は、脂っこいものや甘い物が食べたくなる傾向があります。
この症状は妊娠しやすい体づくりのための生理現象で、イライラ・気分の落ち込みなどのPMS症状(月経前症候群)の一環でもあるため、ストレスでさらに悪化することもあります。
ストレス過食はどういう人がなりやすい?

ストレス過食の主な特徴は、本当の空腹ではなくストレス解消や気晴らしなどの感情のコントロールのために食べることです。
ストレス過食になりやすい人は以下のような方です。
- ストレス解消が苦手な人
- 頑張りすぎてしまう人
- 感情を表現するのが苦手な人
- 食べないと落着かない
- 無理なダイエットで食欲を我慢しすぎている人
- 若い女性 など
ストレス過食のメカニズム
ストレス過食は、以下のようなメカニズム(仕組み)により起こります。

ストレスを受けると体は脳の指示で「コルチゾール」というストレスホルモンを大量に分泌されます。
コルチゾールとは?
食欲を増進させ、特にケーキなど甘い糖質の多いものや塩辛い/しょっぱいもの、脂っこい脂質の多いものなど高カロリーの食べ物を体に求めさせる働きがあります。

コルチゾール増加により、気分を安定させる脳内の神経伝達物質の「セロトニン」の分泌が低下し、気分や感情が不安定になります。
そこで、気分や感情を安定させるため、炭水化物や甘いものを食べることで一時的にセロトニンが増え、気分が安定していきます。このストレスによる暴飲暴食をエモーショナルイーティング(Emotional Eating)とも呼ばれます。
また同時に、幸福感や快楽をもたらす「ドーパミン」が放出され、ストレスによる不快感を食べることで緩和しようとします。
このような快楽が一時的なストレス緩和になり、「また食べればストレスを解消することができる」と脳が学習し、過食が依存的・習慣的になっていきます。
セロトニンとは?
気分が安定している時や幸福感を得た時に分泌される幸せホルモンで、ノルアドレナリンとドーパミンをコントロールしてうまく気持ちを安定させる役割を担うホルモン。セロトニンが不足すると気分や感情が不安定になり平常心が保てなくなります。
ドーパミンとは?
やる気や嬉しい気持ち、快感や達成感をもたらすなど報酬系の脳内神経物質で、ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニンの3つで『幸せ三大ホルモン』と呼ばれています。ドーパミンが不足すると、性機能の低下や運動機能の低下につながります。
ノルアドレナリンとは?
激しい感情や強い肉体作業などでストレスを感じたときにホルモンとして放出される脳内神経物質。ノルアドレナリンが不足すると、やる気や集中力が低下し、無気力になります。逆に多く分泌されすぎると「パニック障害」や「うつ病」を引き起こす要因となります。

このように、一時的なストレス要因から逃れようとする心理的な逃避行動の1つとして食べ過ぎや暴飲暴食が起きることが多くあります。
これらは決して根本的な解決にはならず、逆に一時的な充実感や幸福感から過食後の罪悪感でさらに大きなストレスを受け自己嫌悪に陥り、さらなる悪循環が生まれていきます。
ストレス過食の患者数は?
『ストレス過食』に焦点を当てたデータを見つけられませんでしたが、過食症や拒食症などの「摂食障害」のデータをまとめた厚生労働省のデータがいくつかありましたのでご紹介します。
令和2年度の厚生労働省のデータ*によると、日本の摂食障害患者数は医療機関受信者では約22万人であり、その中でも「神経性やせ症(拒食症)」は特に死亡率が高いということが明らかになっています。
しかしながら、実際のところは摂食障害であるという自覚がなかったり、自覚があっても受診をためらう方も多いことから病院で受診されていない患者数を含めると、実際はもっと多いのではないかと推測されています。
また、国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、摂食障害は若い女性がなりやすいということもわかっています。
摂食障害で診療された患者の年齢層は18歳以上が最も多く、次いで13~15歳、16〜18歳の思春期~青年期などの若い患者が多いことも厚生労働省のデータからも判明しています。
※ 厚生労働省, 令和2年度障害総合福祉推進事業 摂食障害治療及び支援の実態把握及び好事例の把握に関する検討事業報告書, 2021年3月
ストレス過食と似た病気とは?

ストレス過食は「摂食障害(せっしょくしょうがい)」の一種です。
摂食障害とは、食事のコントロールができなくなり、体重や体型への強いこだわりから心身に不調をきたす病気の総称になります。
摂食障害の代表的なものに『過食性障害』『神経性過食症』『神経性やせ症(拒食症)』があり、それぞれの疾患について簡単に解説していきます。
過食性障害(むちゃ食い障害・むちゃ食い症)
短時間に大量の食事をコントロールできず、満腹以上に食べてしまうことを繰り返す精神疾患です。そのため「むちゃ食い障害」や「むちゃ食い症」とも呼ばれ、神経性過食症にも神経性やせ症にも該当しない第3の摂食障害として注目されています。
この過食性障害は、自分では抑えることができないほどの強い衝動に駆られ、食事を大量に摂取してしまうため、食事後には強い罪悪感に苦しみますが、神経性過食症のように食べ過ぎてしまったことへの罪悪感からの「意図的な嘔吐」や「下剤使用」などで排出する不適切な代償行為がみられないため、肥満を伴うことが多いのが特徴です。
人目を忍んでむちゃ食いをするため、周囲に気づかれにくく体重や体型の変化もあまりないので医療機関への受診や治療が遅れがちな疾患でもあります。

<主な特徴>
- 食べるペースやスピードが異常に早い
- 苦しくても気持ちが悪くなるまで食べる
- 空腹を感じなくても大量の食べものを食べる
- 大量に食べているところを人に見られたくない
- 食べ物がなければ買い出しに行ってでもたくさん食べる
- 食べた後に強い自己嫌悪感に襲われたり、落ち込んだりする
- 過食行為が3カ月以上、平均週1回以上になる
<合併症>
うつ病、アルコール依存症、生活習慣病、胃腸障害、肝障害・腎障害 etc
神経性過食症

自分ではコントロールできない感覚で、短時間に大量の食べ物を摂取し、その摂取後は過食性障害(むちゃ食い障害・むちゃ食い症)とは異なり、体重増加を防ぐために自発的な嘔吐や下痢(下剤の乱用)・過度な運動・絶食などの不適切行為を行なう精神疾患になります。
この疾患は女性に多く、体重や体型が自己評価を大きく左右し、肥満恐怖が強いのも特徴的です。”過食性” や ”やせ症”と異なり、体重は正常範囲内であることが多く、人前では症状を出さず、秘密裏に行なうため、周囲が気づきにくいことも多い疾患です。
※主な特徴や合併症は、過食性障害と似ています。
神経性やせ症(拒食症)
痩せているにも関わらず自分は太っていると感じ、体重が増えることを極端に恐れ、体重・体型への異常なこだわりから意図的に体重を減らす精神疾患です。
神経性やせ症は2つのタイプに分かれ、食べ物に強い関心があるにも関わらず、その強い食欲を抑え極端に食事の量を減らす「摂食制限型」と、強い食欲から過食をしてしまい、罪悪感から自発的な嘔吐や下剤使用による排出行動をする「過食排出型」に分けられます。
どちらのタイプも思春期~青年期の女性に多く、低体重により心身に支障をきたす恐れがあるため早期の治療が非常に大切です。

<主な特徴>
- 体重が減り続けていても、いつも頭では食べ物のことばかり考えている
- 自分は食べないが、家族の食事に干渉し、食事の強要を行うことがある
- 料理のレシピを集めたりひたすら料理の動画をみている
- すごく痩せているにもかかわらず、自分は太っていると訴える
- 食事をしたふりをしたり、食べた分量を偽ったりする
- 1日に必要以上に何度も体重を測る
- 脅迫的に運動をする、異常なほど激しい運動をする
<合併症>
うつ病、統合失調症、骨粗しょう症、不整脈 etc.
ストレス過食の一般的な治療法

『ストレス過食』を治したい、どうすれば治るの?とお悩みの方も多くいるかと思います。
ストレス過食は、自分の意思だけでは治すのが難しい摂食障害のため、放置すると肥満や糖尿病・うつ病などの深刻な疾患を招くだけでなく生命を脅かす結果を招く場合もあります。
心身に深刻なダメージを与える前に専門機関で治療をすることをおすすめします。
この章では、『ストレス過食』の一般的な治療法について簡単にご紹介いたします。
精神療法(診療内科・精神科)

ストレス過食は、摂食障害を専門とする診療内科や精神科を受診することが適しています。
摂食障害の専門外来は、この分野の経験豊富なスタッフが在籍しているため、高い専門知識があり、安心して治療に取り組むことができます。
ストレス過食の判断は、食事の問題だけでなく体にも大きな負担がかかっている可能性があるため、血液検査や心電図検査などで合併症(肥満・糖尿病など)の診断も行なわれます。
また、精神療法では過食が何によって引き起こされているかを探っていくため、精神科医の診察を受け心理学の専門家である臨床心理士が主導し心理療法と掛け合わせ「認知行動療法」などを行ないます。
認知行動療法は、患者さんご自身がストレスを感じた出来事に対し、どのように考え(認知)、どのような行動を取るのかなど患者さんの悩みの原因や行動の癖などを問診・ヒアリン等で丁寧にときほぐし、患者さんご自身の気持ちを楽にする治療法になります。
それにより心の苦しみや苦悩を緩和し、よりよい生活が送れるようサポート・アドバイスすることで、適切なストレス対処法を患者さんご自身で考え・経験し、専門家のアドバイスを受けながら身につけていきます。
薬物療法

気分の落ち込みがひどい場合や不安感が強い場合や精神療法でストレス過食の改善がみられなかった場合は、薬物療法が施されることがあります。
薬物療法に関して、ストレス過食そのものを治す特効薬は、現在のところありません。
ただし、不安感や抑うつなどの二次症状を和らげるため、セロトニンの再取り込みを阻害する薬(SSRI)などの抗うつ剤や精神安定剤・抗不安薬等が使用されます。
ストレス過食は薬物療法だけでなく、精神療法や栄養指導を併用することで、より高い治療効果が期待できます。
栄養・生活指導

ストレス過食の改善には、管理栄養士による食生活サポートも非常に重要となります。
食生活の乱れを正し、栄養バランスを整えることで心と体の健康を維持し向上させます。
また、ストレス過食は良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴でもあるため、専門家のアドバイスを受けながら規則正しい食事習慣を送ることで、症状の改善・再発を防ぐことができます。
鍼灸(しんきゅう)治療

鍼灸治療とは、鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて、体の経穴(けいけつ)と言われる特定のツボを刺激し、本来備わっている自然治癒力や免疫力を高める伝統的な東洋医学の一種です。
鍼灸治療は、ストレス過食を含む摂食障害において自律神経のバランスを整え、過食や拒食に伴う胃の不快感や慢性的な便秘・下痢などの消化器症状を緩和します。
また、胃腸機能を改善することで食欲の正常化・不安・ストレスの緩和、睡眠の質の向上などに効果が期待できます。
漢方

漢方は中国の伝統医学「中医学」をベースに、日本独自に発展した和の医学で、東洋医学の一種になります。
東洋医学の基本理念「気・血・水」を整え、不調の根本原因にアプローチし、健やかな体づくりを目指します。
漢方薬は中国由来の伝統医学に基づき、2種類以上の生薬(植物・動物・鉱物)を配合して調合されます。
漢方薬は複数の天然生薬を組み合わせているため、西洋薬と比べて体への負担が少なく、多様な症状や個人の体質に合わせて根本的な原因究明から生薬の量や組み合わせを微調整しながらアプローチすることが可能です。
また、自分では不調を感じているのに病院で診察しても特に不調の原因が突き止められない病気になりきっていない「未病(みびょう)」の状態でも服用することができるため、早い段階から治療ができるので深刻な病気になる前に対処できるのも大きな特徴になります。
ストレス過食に対する漢方治療の詳しい説明は、本記事の「漢方で考えるストレス過食の原因」の章にて解説していきます。
ストレス過食の西洋医学/東洋医学での考え方の違い

こちらでは西洋医学と東洋医学のストレス過食に対する考え方の違いについて解説していきます。
東洋医学とは中国発祥の医学で、日本で独自に発展した伝統医学の総称のことで、「心と体は切り離せないもの」として捉える点が、西洋医学とは大きく異なる点になります。
心と体を調和させ自然治癒力を高め、病気からの回復と予防をサポートするのが目的です。
また、先ほど説明した自覚症状はあるものの検査では異常がなく、病名がつかない「未病」の段階でも早期にアプローチできるのも特徴となります。
こちらでは西洋医学と東洋医学のストレス過食に対する考え方の違いについて解説していきます。
西洋医学での考え方

西洋医学とは科学的根拠に基づき、病気の原因(細菌やウイルスなど)や異常のある臓器・組織に直接アプローチし治療する現代医学を指します。
手術や投薬が中心で、診断には血液検査やレントゲンなどの客観的データを用い、現代の医療の主流となっています。
しかしながら、病気になる前の「未病」の状態や体質改善には不得意な面もあります。
西洋医学においてストレス過食は、「自律神経の乱れ」が密接に関係していると考えられています。
そのため、ストレス過食は単なる意思の弱さではなく、ストレスや感情のコントロールに関わる自律神経・脳内神経伝達物質・ホルモンバランスの乱れなどが複雑に絡み合って発症する疾患とされています。
したがって、西洋医学ではストレスによって自律神経の乱れが生じ、それがセロトニン不足や脳内物質の乱れを引き起こし、結果として過食に至るという悪循環から精神療法や薬物治療などが中心に行なわれます。

また、西洋医学では生理前や生理中の過食は「ホルモンバランスの乱れ」も関係していると考えられています。
排卵後から生理開始までの約3~10日間は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加するため、黄体ホルモンの特徴である「食欲を増進させる作用」と「エネルギーを蓄える働き」が特に強くなり甘いものや炭水化物をいつも以上に欲するようになります。
この原因により生理前や生理中に過食が起きるため、主にPMS(月経前症候群)の典型的な症状のひとつとしても知られています。
さらに、生理前は血糖値が急激に上下しやすく、急速な空腹感やイライラ感から食べないといられない状態に陥りやすくなります。
これらは、意思の弱さではなく、女性ホルモンの変動による生理的な身体反応によるものだと考えられています。
東洋医学/漢方での考え方

一方、東洋医学とは中国を発祥とし、日本で独自に発展した伝統医学の総称です。
東洋医学/漢方では、『心と体は切り離せないもの』として捉える点が、西洋医学とは大きく異なる部分であり、心と体を調和させ自然治癒力を高め、病気からの回復と予防をサポートするのが主な目的になります。
また、重複してしまいますが、自覚症状はあるものの検査では異常がなく病名がつかない「未病」の段階でも早期にアプローチできるところも強みとなります。
気・血・水(き・けつ・すい)について

東洋医学において「気・血・水」は生命の維持と身体構成に欠かせない3つの基本要素で、これらがスムーズに循環・供給されることで心身の健康が保たれる根本的な概念となります。
「気・血・水」のどれか1つでも不足したり、巡りが悪く滞ったりすると、心身に不調が起るとされています。
- 気
生命活動の根本的なエネルギーで、気力や精神活動を支えます - 血
血液そのものと、全身に栄養やうるおいを運ぶ役割を担っています - 水
血液以外の体液(リンパ液・汗・尿など)のことで老廃物を流す役割があります
五行(ごぎょう)について

五行とは、自然界の万物を「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)」の5つの要素に当てはめ、これらが互いに影響しあってバランスを保つという古代中国の自然哲学のことを指します。
人体もこの5つに分類した五臓(ごぞう)「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」で機能を捉え、相互に助けたり抑制したりし合うことで健康が保たれると考え、問診や診断、治療の際に応用しています。
- 木=肝:自律神経のバランスを保ち、血を蓄えて巡らせる
- 火=心:精神や意識をコントロールし、血液を全身に循環させる
- 土=脾:食べ物から栄養を作り出し、エネルギー(気血水)にして全身に運ぶ
- 金=肺:気の滞りをスムーズにし、津液(水)の巡りを良くする
- 水=腎:成長や発育に必要な活力を蓄え、体内の水分バランスを整える
漢方で考えるストレス過食の原因
漢方(東洋医学)では、西洋医学とは異なり、ストレス過食も生理前や生理中の過食も、その根本的な原因は「肝の失調」が原因であると捉え、ストレス過食に陥ると漢方では以下の状態になると考えられています。
肝脾不和(かんぴふわ)

漢方において、「肝(かん)」は自律神経や感情、気の巡りをコントロールする臓器とされています。
ストレスにより肝の異常を感じると、肝の機能が低下しエネルギー(気)の巡りが悪くなり、イライラ・情緒不安定・些細なことで怒る・憂うつ・生理前不調などの症状が現れ、気力や体力が低下する「気虚(ききょ)」という状態に陥ります。
また、「肝」が弱わることで消化器系である「胃」や「脾」にその悪影響が浸透し、イライラ・情緒不安定などを解消しようと異常な食欲が生まれてしまい、「肝脾不和」が起こります。
胃熱(いねつ)

脂っこい食事や辛いもの・甘いもの・アルコールなどの過剰摂取による食生活の乱れは、胃に大きな負担がかかり、「熱」を蓄積させます。
ストレスが溜まると自立神経が乱れ、体の熱(エネルギー)が過剰になり胃にこもると胃の熱を助長し、消化機能が活発になるため、食べても食べてもお腹が空いたり、無性に何かを食べたくなるなどの症状を引き起こします。
そのため、漢方ではストレス過食を助長する「胃熱(いねつ)」も1つの原因として考えられています。漢方の治療では「肝の失調」を治すことも重要ですが、「胃熱」を改善することも非常に重要になります。
ストレスがなくなることで「肝の失調」も「胃熱」改善していきますが、「胃熱」をより早く改善させるためには胃腸を整え、脾を丈夫にすることが大切です。
ストレス過食を改善する漢方と生薬について

『ストレス過食』の方におすすめな漢方薬や生薬を簡単にご紹介いたします。
ストレス過食の改善に漢方をおすすめする理由

漢方(東洋医学)では、心と体は切り離せないひとつのものと捉えられています。病気だけを診るのではなく患者様のストレスや生活習慣を含め、その方を取り巻く様々な環境全体を考慮しオーダーメイドで漢方をご提案いたします。
※同じ生薬を使っていても、その方の症状の重さや痛み具合、年齢・体重などによって微調整して漢方をお作りします。
ストレス過食に関しては、『自律神経の乱れ(心の不調)』と『胃腸の不和(体の不調)』を同時にケアすることで、心身のバランスが整い、肝の失調だけでなく体内にこもった熱も取り除くことができます。
また、漢方は自然由来の成分でできているため、西洋薬と比べて副作用が少なく、長期にわたる服用でも体への負担が少なく、西洋薬と併用して服用することも可能です。
ストレス過食を改善する漢方薬に含まれる主な生薬
・柴胡(さいこ):解熱、鎮静効果があり、ストレスによるイライラや不安などを解消します。
・芍薬(しゃくやく):鎮静効果があり、精神的ストレスやイライラを和らげ、「血」不足を補います。
【胃腸を整え脾を丈夫にする生薬】

- 茯苓(ぶくりょう):胃腸の働きを整え、体内の余分な水分を取り除きます。
- 半夏(はんげ):みぞおちのつかえ感や消化不良を改善し、ストレスを緩和します。
- 大棗(たいそう):胃腸機能を向上させ、消化吸収を良くし、イライラを鎮める効果があります。
- 生姜(しょうきょう):胃腸の不調や吐き気を抑え、血流を促進し体を温めます。
- 甘草(かんぞう):胃の働きを助け、体の毒素を排出し気を補います。
【消化を良くする生薬】

- 麦芽(ばくが):消化を促進させ、気の流れを整えストレスによる胃の不調を改善する。
- 山査子(さんざし):肉や油っこい食事による消化不良や胃もたれを改善し、血の巡りを良くする。
- 神麹(しんきく):食欲不振や胃もたれ・膨満感を改善し、胃腸機能を活発にする。
- 茵蔯蒿(いんちんこう):体内の熱や炎症を鎮め、肝機能のトラブルを改善します。
香砂養胃丸(こうしゃよういがん)

ストレスで弱った胃腸を元気にし、消化不良を改善する漢方薬です。
含まれる主な生薬
人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓・甘草・陳皮(ちんぴ)・半夏(はんげ)・木香(もっこう)・縮砂(しゅくしゃ)・白豆蒄(びゃくずく)・香附子(こうぶし)・生姜・大棗
効果
ストレス性の胃もたれや腹痛を改善し、胃腸機能を正常化するアプローチをします。
おすすめな方
- 慢性的な胃腸虚弱の方
- 食欲が出ない方
- 冷えると胃の調子が悪くなる方 など
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)

胃腸機能を高める六君子湯(りっくんしとう)に、気の巡りを良くする香附子(こうぶし)と縮砂(しゅくしゃ)を加えた漢方薬です。
含まれる主な生薬
人参・白朮・茯苓・甘草・半夏・陳皮・生姜・大棗・木香・縮砂
効果
ストレスによる胃のつかえや食欲不振、消化不良を改善し、胃腸の機能を強化します。
おすすめな方
- ストレスを感じると胃が重く胃もたれしやすい方
- 食欲がないのについだらだら食べてしまう方
- 胃のつかえ感がある方 など
晶三仙(しょうさんせん)

山査子・麦芽・神麹の3種類の生薬が含まれた、脂っこい食事の消化をサポートする製品です。
※こちらは漢方薬ではなく健康食品になります。
含まれる主な生薬
山査子(さんざし)・麦芽(ばくが)・神麹(しんきく)
効果
ストレスでの食べ過ぎや胃腸の不調を改善し、胃の消化機能を助けます。主に食後に服用することが推奨されています。
おすすめな方
- 脂っこい食事や外食が多い方
- お腹が張って食欲が出ない方
- 胃腸が弱く消化不良を起こしやすい方
- 食後に不快な苦しさがある方 など
山爽茶(さんそうちゃ)

柳茶(りゅうちゃ)が主成分のストレスによる過食やむくみ・水太りに効果がある健康茶です。
含まれる主な生薬
柳茶・荷葉(かよう:ハスの葉)・問荊(もんけい:スギナ)・シベリア人参
効果
ストレスのよる過食やそれに伴う太りやすい体質の改善をします。
おすすめな方
- イライラすると食べることに走ってしまう方
- むくみがちで水太りしやすい方
- 代謝が落ちてやせにくい方 など
四逆散(しぎゃくさん)

ストレスや緊張によるイライラを抑え、腹痛や膨満感を改善する漢方薬です。
含まれる主な生薬
甘草・芍薬・柴胡・枳実
効果
肝の機能を回復させ、ストレスによる胃の不快感や腹部の張り、便通異常を改善します。
おすすめな方
- イライラや抑うつ感がある方
- ストレスを感じると胃が張ったりつかえたりする方 など
柴胡疏肝湯(さいこそかんとう)

ストレスによるイライラ・抑うつ・腹部の張った痛みを抑える、抗ストレス作用を持つ漢方薬です。
含まれる主な生薬
柴胡・芍薬・枳実・甘草・川芎(せんきゅう)・香附子・青皮(せいひ)
効果
肝の機能を回復させ気の巡りを良くし、ストレスによる感情の起伏や痛みを和らげます。
おすすめな方
- イライラしやすい、怒りっぽい方
- ストレスで慢性的な胃痛がある方 など
加味平胃散(かみへいいさん)

消化を助ける平胃散(へいいさん)に山査子や麦芽などの生薬を加え、消化を助け胃を元の調子に戻す漢方薬です。
含まれる主な生薬
層朮・厚朴・陳皮・甘草・生姜・大棗・神麹・麦芽・山査子
効果
食べた物の消化を促進し、胃の働きを整え、暴飲暴食やストレスでの過食による胃の不快感を改善します。
おすすめな方
- 暴飲暴食をしてしまう方
- お腹が張って苦しい方
- 消化不良や下痢を起こしやすい方 など
香砂平胃散(こうしゃへいいさん)

胃腸に溜まった余分な水分を取り除き、気の巡りを整えることで胃の調子を改善する漢方薬です。
含まれる主な生薬
層朮・厚朴・陳皮・香附子・大棗・生姜・甘草・縮砂・藿香(かっこう)
効果
胃に滞った余分な水分を排出する。胃腸の働きを整え、食べ物の消化を助け異常な食欲を抑えます。
おすすめな方
- ストレスや生理前で異常な食欲がある方
- 消化不良で胃が重く感じる方
- 胃が弱くて食欲が落ちている方 など
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

便秘で腹部に皮下脂肪が多い「脂肪太り」の方の改善に用いられる漢方で、特に体力がある方向けの漢方薬になります。
含まれる主な生薬
滑石(かっせき)・甘草・桔梗・石膏(せっこう)・白朮・大黄(だいおう)・荊芥(けいがい)・山梔子(くちなし)・当帰・薄荷・防風(ぼうふう)・麻黄(まおう)・連翹(れんぎょう)・無水芒硝(むすいぼうしょう)・生姜・黄芩(おうごん)・芍薬・川芎
効果
胃の熱を取り除き、異常な食欲を抑える効果があります。
おすすめな方
- 体力があり食欲旺盛な方
- お腹周りに脂肪が多い方
- 食べ過ぎや飲みすぎが習慣化している方 など
麦門冬湯(ばくもんどうとう)

うるおい不足の胃に津液を補い、胃の不快感や食欲不振を改善する作用を持つ生薬を含んだ漢方薬です。
含まれる主な生薬
麦門冬(ばくもんどう)・半夏・人参・粳米(こうべい)・大棗・甘草
効果
胃にうるおいを与え、気を補い、消化機能を向上させる効果があります。
おすすめな方
- ストレスで喉が渇きイガイガする方 など
漢方相談の魅力について

漢方相談とは、単に漢方薬を提案してもらうだけでなく、漢方の専門知識を持つ薬剤師や相談員が、お客さまの現在の体質や生活習慣などを丁寧にお伺いし、一人ひとりに最適な漢方薬をご提案し、ご購入いただくサービスになります。
病気そのものは同じでも、症状や背景(年齢・体質・環境・体格)はそれぞれ異なります。その違いをじっくり四診(望診・聞診・問診・切診)することにより、お悩みの根本原因を特定し、そのときに最もふさわしい漢方薬をご提案いたします。
また、購入後も定期的に漢方相談を受けていただき、お客さまの症状の具合や漢方のご使用して気づいたこと、ご要望などをさらにお伺いながらより症状が改善に向かうよう漢方・生薬を微調整し再度ご提案いたします。
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お店が駅近くで交通の便がいい

現在、私たち漢方ツヅノ薬局は「平和島本店」と「田町店」の2店舗になります。
平和島本店は駅から徒歩1分、田町店は駅から徒歩3分とどちらも駅から近く、通いやすい場所にあります。
駅チカでアクセスしやすい立地は、漢方相談を続けて頂くうえで非常に重要と考えております。
オンラインでも漢方相談が可能

現在、私たち漢方ツヅノ薬局は「平和島本店」と「田町店」の2店舗になります。
平和島本店は駅から徒歩1分、田町店は駅から徒歩3分とどちらも駅から近く、通いやすい場所にあります。
駅チカでアクセスしやすい立地は、漢方相談を続けて頂くうえで非常に重要と考えております。
一人ひとりに合わせたオーダーメイドの漢方をご提案

私たち漢方ツヅノ薬局では、以下4つの診断(四診)を丁寧に時間をかけて行ないます。
初回は90分程度お時間を頂く場合もございます。
- 望診(ぼうしん):診る
- 問診(もんしん):話す
- 聞診(ぶんしん):聞く
- 切診(せっしん):触る
特に私たち、東洋医学の基盤である五行や気・血・水などのバランスをチェックし、お客様の今のコンディションを総合的に判断します。また、ご来店いただいたお客さまには必要に応じて血流測定や毛細血管測定なども行っております。
これらの診断を踏まえ、最も適した漢方薬をご提案させていただきます。
万全なアフターサービス

漢方薬の服用にあたり、特に初めて服用されるお客さまは、飲み方など不明な点や不安な点が出てくることが多く、また服用を続けていると体調の変化など何か気になることなどを少し質問されたいという方も多くいらっしゃいます。
そのような場合は、お一人で悩まず些細なことでも気軽に私たち【漢方ツヅノ】の公式LINEにメッセージやお店にお電話をいただければ不明点や質問などにお答えしております。
まとめ

ストレス過食とは、心理的ストレスにより心を満たす目的で、必要以上に食べてしまう行為で、摂食障害のひとつになります。
ストレス過食は、以下のような特徴があります。
- 空腹でないのに食べたいという欲求が止まらない
- イライラや落ち込みなどの特定の感情と連動して起こる
- 甘いものや脂っこいものを好む
- 食べたあとに罪悪感や後悔を抱く
漢方においてストレス過食は『肝の失調』によるものと考えられており、それに伴い「肝脾不和」や「胃熱」といった状態を引き起こします。
それらを改善するためには、肝の機能を回復させ、体にこもった熱を取り除く効果のある漢方薬を取り入れることが重要になります。
同じ疾患でも年齢・体質・生活習慣・体格・自信を取り巻く様々な環境などにより、適した漢方薬は一人ひとり異なります。
私たちは創業70年の東京の老舗漢方薬局になります。長年積み重ねた確かな経験と多くの症例、年間5000件以上にのぼる実績で時代に合わせたお客さま一人ひとりに合わせた最適な漢方をご提案してまいりました。
ストレス過食や摂食障害でお悩みのお客さまの症例や実績も多くこざいます。
もし以下のようなお悩みがあり漢方に少しでもご興味ございましたら、是非私たち【漢方ツヅノ薬局】までお電話・メール・LINEにてお気軽にご相談ください。
- ストレスが溜まるとドカ食いしてしまう
- お腹が空いていないのに食べてしまう
- 生理前・生理中になると食べたくなってしまう


