甲状腺機能亢進症・低下症の症状とは?バセドウ病・橋本病と漢方の考え方

このような症状でお悩みではありませんか?

  • 動悸がしたり、イライラして落ち着かないなどの焦燥感
  • 疲れやすく、休んでもだるさが残る
  • 気力がわかず、気分が落ち込みやすい
  • 喉に異物感がある
  • 手足や体が冷えやすくなった
  • 病院で甲状腺の病気と診断され、治療をしながらできるケアを探している

これらの症状は、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)や甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)の方でみられることがある症状です。

ただし、更年期障害や貧血、心臓の病気、うつ病など、ほかの病気や体調の変化でも似た症状が現れることがあります。そのため、症状だけで判断することはできません。気になる症状が続く場合は、医療機関で検査を受けることが大切です。

※「亢進」とは、体の働きが通常よりも活発になることを指します。


甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症は、どちらも首の前側、のどぼとけのすぐ下にある「甲状腺(こうじょうせん)」の働きに関わる疾患で、代表的な原因として、自己免疫疾患であるバセドウ病や橋本病があります。

甲状腺機能亢進症の代表的な原因の一つがバセドウ病です。バセドウ病では、甲状腺が必要以上に働き、甲状腺ホルモンが多く作られます。

一方、橋本病は甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気で、甲状腺機能低下症の代表的な原因の一つです。ただし、橋本病の方すべてが甲状腺機能低下症になるわけではなく、甲状腺の働きが正常に保たれている方も多くいらっしゃいます。

今回の記事では、甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症の症状や原因、バセドウ病・橋本病との関係について解説します。

さらに、漢方(中医学)で症状や体質を捉える際に用いる「気鬱(きうつ)」や「気虚(ききょ)」の考え方、症状や体質に応じて検討される生薬・漢方薬についても、分かりやすくご紹介します。

甲状腺の病気では、医療機関で検査と治療を受けることが基本となります。
そのうえで、冷えや疲労感、不眠などの不調がある場合に、医師や薬剤師に相談しながら、体質や症状に応じて漢方薬の併用を検討されることがあります。どのような症状や体質の方に、どのような生薬・漢方薬が検討されるのか、また日常生活でできることや病院での治療との付き合い方なども本記事であわせてご紹介します。ご参考となれば幸いです。

目次

甲状腺疾患(こうじょうせんしっかん)とは?

甲状腺は、のどぼとけの下にある蝶のような形の臓器のことを指します。「甲状腺ホルモン」を分泌し、全身の新陳代謝を調整する役割を担っています。

よく耳にする「甲状腺疾患」とは、甲状腺ホルモンが作られる量や分泌に異常が生じる病気、甲状腺に炎症・結節・腫瘍などが生じる病気の総称になります。

参考:厚生労働省「甲状腺の病気」

甲状腺疾患には、甲状腺機能の異常や腫瘍など、次のようなものがあります。

  • 甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
  • 甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)
  • 甲状腺腫瘍(こうじょうせんしゅよう)

このうち、甲状腺機能亢進症は甲状腺そのものが甲状腺ホルモンを過剰に作る状態で、代表的な原因の1つが『バセドウ病』です。

なお、甲状腺の炎症によって蓄えられていたホルモンが血液中に漏れ出す状態などは「甲状腺中毒症」に含まれますが、厳密には甲状腺機能亢進症とは区別されます。

一方、甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの作用が不足した状態で、代表的な原因の一つが『橋本病』です。ただし、橋本病と診断されても甲状腺機能が正常に保たれている方は多くいます。

今回は、甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症について、漢方(中医学)ではどのように症状や体質を捉え考えていくのかを解説します。

漢方薬は、同じ症状であっても、その方の体質や状態によって適する生薬の組み合わせや量が異なります。インターネットの情報や知名度だけで選ぶと、体質に合わないだけでなく、副作用が起こる可能性もあるため注意が必要です。

漢方相談では、体調や症状の経過、生活環境、服用中のお薬などを詳しく伺い、現在の体質や状態に合う漢方薬、服用方法、養生法をご提案します。人気の漢方薬を選ぶことではなく、「現在の自分に合っているか」を見極めて取り入れることが大切となります。

甲状腺の役割

甲状腺は体の新陳代謝をコントロールする「甲状腺ホルモン」を作る役割があります。

甲状腺ホルモンの主な働きは以下のとおりです。

  • 新陳代謝の促進:糖質や脂質を利用してエネルギーを作り、体温の維持に関わります
  • 心臓や自律神経への作用:心臓の動きや脈拍、発汗などに影響します
  • 成長や発育の促進:胎児や子どもの正常な体の成長と脳の発達を支えます

甲状腺ホルモンの分泌は、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調整されています。
医療機関では、甲状腺の働きを確認するためにTSHとFT4を測定し、状態に応じてFT3も確認します。FT4(遊離サイロキシン)とFT3(遊離トリヨードサイロニン)は、いずれも血液中でたんぱく質と結合していない「遊離型」の甲状腺ホルモンです。
参考:日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」

このように甲状腺ホルモンは重要な役割を担っており、作られる量や分泌のバランスが崩れると、次のような甲状腺機能の異常につながります。

  • 甲状腺でホルモンが過剰に作られる場合 ⇒ 甲状腺機能亢進症(代表的な原因:バセドウ病など)
  • 甲状腺ホルモンが不足する場合 ⇒ 甲状腺機能低下症(代表的な原因:橋本病など)

※バセドウ病と甲状腺機能亢進症、橋本病と甲状腺機能低下症は、それぞれ同じ意味ではありません。橋本病でも甲状腺機能が正常な方は多く、日本甲状腺学会の診断ガイドラインでは、甲状腺機能低下症となるのは橋本病の約1割とされています。

※甲状腺中毒症は、血液中の甲状腺ホルモンが多い状態の総称です。バセドウ病のように甲状腺がホルモンを過剰に作る場合を甲状腺機能亢進症といい、炎症でホルモンが漏れ出す場合などと治療が異なりますのでご注意ください。必ず医療機関で検査と治療を受けるようお願いいたします。

出典:一般社団法人 日本内分泌学会「橋本病(慢性甲状腺炎)」

日本の甲状腺患者の人数はどれくらい?

一般社団法人 日本甲状腺学会によると、日本国内で甲状腺疾患のある方は約500~700万人とされ、そのうち治療が必要な方は約240万人と推計されています。

一方、厚生労働省の「令和5年患者調査」を基に日本甲状腺学会が集計したところ、実際に医療を受けている方は約90万人と記されています。

いずれも推計値であり、調査方法や対象によって人数は異なりますが、日本甲状腺学会は、治療が必要であるにもかかわらず、医療機関を受診していない方が多く存在すると説明しています。

甲状腺疾患では、疲労感、体重の変化、動悸、気分の落ち込みなど、人によってさまざまな症状が現れます。ほかの病気や更年期の不調などと区別しにくく、甲状腺の異常に気づかないまま過ごしている場合もあります。

気になる症状が続く場合は、症状だけで自己判断せず、医療機関で血液検査などを受けることが大切です。

甲状腺疾患は女性に多い?

甲状腺疾患には女性に多くみられる傾向があります。

厚生労働省の情報では、バセドウ病は若い女性に多く、橋本病は成人女性に多い病気として紹介されています。

日本内分泌学会は、橋本病が成人女性の約10人に1人、成人男性の約40人に1人にみられると説明されていますが、女性に多い理由は完全に解明はされていません。

※橋本病の全ての方に甲状腺機能低下症が発症するわけではありません。

自己免疫の成り立ちには遺伝的要因や環境要因など、複数の要因が関係すると考えられています。妊娠中や産後には甲状腺機能が変化することがあるため、甲状腺疾患のある方や治療中の方は、主治医と相談しながら定期的に検査を受けることが重要となります。

また、甲状腺機能の異常と更年期の不調には、疲労感、イライラ、動悸、発汗など共通する症状があります。更年期だからと自己判断せず、症状が続く場合は医療機関に相談することが大切です。

甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症の代表的な病気

バセドウ病と橋本病は、どちらも免疫の異常によって甲状腺に影響が出る自己免疫疾患です。バセドウ病では甲状腺機能が亢進しますが、橋本病では甲状腺機能が正常な場合も多く、機能が低下すると甲状腺機能低下症の症状が現れます。

この章では、甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症の代表的な病気として、バセドウ病と橋本病の特徴や症状を解説します。

バセドウ病とは?

バセドウ病は、免疫の異常によって作られた自己抗体(TRAb)が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気になります。その結果、全身の代謝が必要以上に高まります。

なぜこのような自己抗体が作られるのかは、遺伝的要因と環境要因などが複雑に関係すると考えられていますが、いまだ完全には解明されていません。

バセドウ病でよく見られる症状には次のようなものがあります。

  • 動悸・頻脈:安静にしていても心臓がドキドキする、脈が速くなる
  • 体重減少:食欲はある、または普通に食べているのに体重が減る
  • 多汗・暑がり:汗をかきやすくなる、暑さに弱くなる
  • 精神症状:イライラ・落ち着かない・眠れない・不安を感じる
  • 手足の震え:手足が細かく震える
  • 甲状腺の腫れ:首の前側にある甲状腺が腫れる
  •  目の症状:一部の方には、まぶたの腫れ・眼球突出・物が二重に見える複視などの甲状腺眼症がみられる

橋本病とは?

橋本病は、バセドウ病と同じ自己免疫疾患の一つですが、甲状腺に起こる変化は異なります。橋本病では、免疫の異常によって甲状腺に慢性的な炎症が起こります。そのため、別名「慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)」とも呼ばれています。

なぜこのような免疫の異常が起こるのかは、現在も完全には解明されていません。

炎症によって甲状腺の組織が少しずつ損なわれ、甲状腺ホルモンを十分に作って分泌できなくなると、甲状腺ホルモンが不足することで甲状腺機能低下症を発症します。

ただし、橋本病の方すべてが甲状腺機能低下症になるわけではなく、甲状腺の働きが正常に保たれている方も多くいます。

甲状腺機能が低下した場合には、次のような症状がみられます。

  • 全身の不調:疲れやすい・だるい・ぼーっとする
  • 体重の変化:食欲が低下しているのに体重が増える
  • 代謝の低下:寒がりになる、汗をかきにくくなる
  • 気分や思考の変化:やる気が出ない・気分が落ち込む・集中力が低下する
  • その他の身体症状:皮膚の乾燥・顔や手足のむくみ など

橋本病は、日本の医師である橋本策博士が1912年に報告したことに由来する病名です。
出典:九州大学 医学部・大学院医学系学府・大学院医学研究院「橋本病発見100周年祝典を開催」(2013年1月15日)

【参考文献・出典】
一般社団法人 日本内分泌学会「橋本病(慢性甲状腺炎)」(2019年11月18日最終更新)
一般社団法人 日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」(2024年11月21日改定)

漢方(中医学)での甲状腺疾患の考え方

漢方(中医学)では、甲状腺疾患を特定の器官だけの病気としてではなく、症状や体質に着目して捉えます。『気・血・水(きけつすい)』や『五臓(ごぞう)』のバランスも確認しながら、全身の状態を考えることが基本となります。

※ここで紹介する気鬱や気虚などは、甲状腺疾患の医学的な原因や診断名ではありません。漢方(中医学)で現在の症状や体質を整理するための考え方であり、同じ病名でも捉え方は一人ひとり異なります。

この章では、『気・血・水』と『五臓』の考え方を確認したうえで、甲状腺機能の異常に伴う不調を漢方(中医学)ではどのように整理するのか、ツヅノ薬局での相談の視点も交えて解説します。

五臓とは、人間の体の働きを「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」の5つに分類した機能のことで、肝臓や心臓といった西洋医学の臓器そのものとは異なります。生命活動を支える重要な役割を担い、心や体のつながりを含めた広い概念として考えられています。

以下が五臓の主な働きになります。

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肝
(かん)
・気の巡りを整え、情緒の安定に関わる
・「血」を蓄え、必要に応じて全身へ送る
心
(しん)
・「血」を全身に巡らせる
・意識や精神活動に関わる
脾
(ひ)
・飲食物を消化吸収し、「気」や「血」を生み出す
・水分の巡りや筋肉の維持に関わる
肺
(はい)
・呼吸をつかさどり、「気」を全身に巡らせる
・体内の水分の巡りを整える
腎
(じん)
・生命力の基礎とされる「腎精(じんせい)」を蓄える
・発育・成長・生殖や水分代謝に関わる

一方、漢方において『気(き)・血(けつ)・水(すい)』とは私たちの体を構成し、健康を維持するために体内を巡っている3つの重要な要素のことを指します。

これら3つの要素のバランスが整っているときは健康ですが、量が不足したり巡りが滞ったりするとさまざまな不調や病気につながると考えられています。

  • 気:中医学で、生命活動を支え、体を温めたり動かしたりする働きを表す概念
  • 血:中医学で、全身を養い、心身をうるおす働きを表す概念
  • 水:中医学で、血以外の体液と、その巡りや代謝を表す概念

甲状腺機能亢進症・バセドウ病に伴う症状と『気鬱(きうつ)』

漢方(中医学)では、甲状腺機能亢進症やバセドウ病に伴うイライラ、不安、不眠などがみられる場合、気の巡りが滞る『気鬱(きうつ)』という状態に着目することがあります。

気鬱とは、ストレスや過労、不規則な生活などをきっかけに、体を巡る「気」がスムーズに流れにくくなった状態を指します。気鬱が長引いた方の中には、「肝(かん)」や「心(しん)」に熱がこもる「肝火上炎(かんかじょうえん)」や「肝鬱化火(かんうつかか)」として捉えることがあります。

漢方(中医学)では、このような状態が、バセドウ病に伴って現れる一部の症状と重なると考えられています。

肝火上炎(かんかじょうえん)とは?

肝火上炎とは、漢方(中医学)において、ストレスや生活習慣の乱れなどにより、肝の機能のバランスが崩れ、体内の「熱」が上半身(頭・目・顔など)へ突き上げるように昇ってしまった状態のことを指します。

この状態では、イライラ、不眠、顔のほてり、目の充血などがみられることがあります。

こうした症状の一部は、バセドウ病に伴って現れる症状と重なる場合があります。

肝鬱化火(かんうつかか)とは?

肝鬱化火とは、漢方(中医学)において、精神的なストレスや感情を抑える状態などによって気の巡りが滞る「肝鬱」が長引き、やがて「熱」を帯びた状態を指します。

この状態では、イライラや怒りっぽさ、不眠、ほてり、発汗などがみられることがあります。

こうした症状の一部は、バセドウ病に伴って現れる症状と重なる場合があります。

中医学では、このような症状がみられる場合、こもった熱を鎮めて気の巡りを整えることを基本に、「肝」や「心」の状態にも着目しながら、その方の体質や症状を総合的に捉え、適切な生薬・漢方をご提案いたします。

甲状腺機能低下症・橋本病に伴う症状と『気虚(ききょ)』

漢方では、甲状腺機能低下症や橋本病に伴う疲労感、無気力、冷えなどがみられる場合、生命活動を支えるエネルギーが不足した『気虚(ききょ)』という状態に着目することがあります。

気虚とは、中医学で生命活動を支えるとされる「気」が不足した状態を指します。気虚では、疲れやすい、息切れしやすい、食欲がない、冷えやすいなどの症状がみられることがあります。

さらに、疲労感に加えて食欲不振、不眠、不安感、物忘れなどが重なる場合には、「心(しん)」と「脾(ひ)」の働きがともに弱った『心脾両虚(しんぴりょうきょ)』として捉えることもあります。

このように、気虚や心脾両虚でみられる症状の一部は、甲状腺機能が低下した橋本病の方に現れる症状と重なると考えられています。

心脾両虚(しんぴりょうきょ)

橋本病などによって甲状腺機能が低下すると、全身の代謝が低下し、疲労感、無気力、眠気、食欲不振、だるさなどの症状が現れることがあります。

これらの症状がある方すべてを心脾両虚と判断されるわけではなく、症状の組み合わせ、経過、食欲や睡眠の状態などを総合して見極めていきます。

中医学で、過労や思い悩む状態などが続くことにより、精神活動や血に関わる「心(しん)」と、消化吸収や気血の生成に関わる「脾(ひ)」の働きがともに低下し、「心脾両虚」の状態にあると考えられます。

このような症状が目立つ場合には、その方の体質や症状に応じて、「脾」の働きを助けて気を補いながら、「心」と「脾」のバランスを整える漢方薬をお客様にご提案いたします。


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項目甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症
代表的な原因バセドウ病など橋本病など※
主な症状動悸・頻脈・体重減少・多汗・暑がり・イライラ・不安・不眠・手指の震えなど倦怠感・体重増加・寒がり・発汗の減少・無気力・集中力の低下・皮膚の乾燥・むくみなど
症状に応じて着目する
状態の例
気鬱・肝鬱化火・肝火上炎気虚・心脾両虚
五臓での捉え方「肝」や「心」の状態に着目する「脾」や「心」の状態に着目する
中医学での
基本的な考え方
気の巡りを整え、こもった熱を鎮める「脾」の働きを助けて気血を補い、「心」を養う
漢方薬の例柴胡加竜骨牡蛎湯・柴胡疎肝湯など補中益気湯・四君子湯・帰脾湯など
生薬の例柴胡・芍薬・竜骨・牡蛎など人参・黄耆・白朮・茯苓など

※橋本病の方すべてが甲状腺機能低下症になるわけではなく、甲状腺機能が正常に保たれている方も多くいます。

※上記は中医学における捉え方の一例です。病名と「証」が一対一に対応するものではありません。実際の漢方薬は、症状や体質、検査結果、服用中の薬などを確認したうえで検討します。

※半夏厚朴湯は、気の滞りや喉のつかえ・異物感などがみられる場合に検討される処方例として、本文で個別に説明します。

甲状腺疾患に伴う症状で検討される生薬・漢方薬

甲状腺疾患に伴う不調に対して検討される生薬・漢方薬は、甲状腺ホルモンの状態だけで決まるものではありません。

現在現れている症状や体質、病院での治療内容などを確認し、一人ひとりの状態に合わせて検討します。

ここでは、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症に伴う症状に対して、体質に応じて検討される代表的な生薬・漢方薬をご紹介します。

『甲状腺機能亢進症』に伴う不調で検討される生薬・漢方薬

ここでご紹介する漢方薬は、甲状腺機能亢進症そのものを治療する薬ではありません。

医療機関での検査と治療を基本とし、動悸や発汗、不眠、だるさ、体重減少などの症状が続く場合は、まず主治医に相談することが大切です。

漢方薬を検討する際には、現在の症状や体質だけでなく、甲状腺の検査値、医療機関での治療内容、服用している薬の種類や量なども確認いたします。

そのうえで、必要に応じて生薬の種類や組み合わせ、分量を細かく調整し、一人ひとりの状態に合わせた漢方薬をご提案します。

この章でご紹介する生薬・漢方薬は、あくまで一般的な例になります。たとえ、同じ症状であっても一人ひとりに適した生薬や漢方薬はそれぞれ異なるため、決して自己判断で選ばず、医師や薬剤師などの専門家に相談したうえで使用を検討することお勧めいたします。

※注意※

  • 「気・血・水」は、漢方(中医学)で体の状態を捉えるために用いられる考え方です。また、「熱」は、体に熱がこもったような状態を表します。いずれも、現代医学における血液や体液、体温などと必ずしも同じ意味ではありません。
  • 漢方薬の説明に用いられる「体力」は、単純な運動能力ではありません。体格や体調、胃腸の働き、病気に対する抵抗力などを含め、漢方薬を選ぶ際の目安として用いられる表現となります。

【生薬】

  • 柴胡(さいこ)
    ストレスなどによって滞った「気」の巡りを整えると考えられています。イライラや気分の落ち込み、胸や脇腹の張りなどが目立つ方に向けて検討する生薬。
  • 芍薬(しゃくやく)
    「血(けつ)」を養い、筋肉のこわばりや緊張、けいれん、痛みなどを和らげる働きがあるとされています。
  • 竜骨(りゅうこつ)・牡蛎(ぼれい)
    高ぶった気持ちを落ち着かせる働きがあるとされ、不安、動悸、不眠などを伴う方に用いられます。
  • 茯苓(ぶくりょう)
    体内に偏った水分の巡りを整え、胃腸の働きを支えながら、気持ちを落ち着かせる生薬。
  • 釣藤鈎(ちょうとうこう)
    体内の熱や神経の高ぶりを鎮めると考えられています。イライラ、頭痛、めまいなどを伴うときの候補となります。
  • 黄芩(おうごん)
    体内にこもった余分な「熱」を冷ます生薬とされます。ほてりや熱感、イライラなどがあるときに、ほかの生薬と組み合わせてご提案します。
  • 山梔子(さんしし)
    体内にこもった熱を冷まし、熱によって生じる焦燥感や気持ちの高ぶりを鎮めるとされています。
  • 当帰(とうき)
    「血(けつ)」を養い、その巡りを整える働きがあるとされます。冷え、血色の悪さ、皮膚の乾燥などが気になる方に検討されます。

【漢方薬】

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
    柴胡、竜骨、牡蛎、茯苓などを組み合わせた漢方薬です。
    中医学では、滞った気の巡りを整え、高ぶった気持ちを落ち着かせる処方として捉えられています。
    用いられる目安:体力中等度以上で、精神的な不安があり、動悸、不眠、便秘などを伴う方に用いられます。
  • 柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
    柴胡、芍薬、香附子、川芎などを組み合わせた漢方薬です。
    中医学では、ストレスなどで滞った気の巡りを整え、胸や脇腹の張り、痛みなどを和らげる処方として捉えられています。
    用いられる目安:体力中等度で、胸や腹部に重苦しさがあり、ときに頭痛や肩・背中のこわばりを伴う方の腹痛、側胸部痛、神経痛などに用いられます。
  • 加味逍遥散(かみしょうようさん)
    柴胡、芍薬、当帰、茯苓、山梔子などを組み合わせた漢方薬です。
    中医学では、気や血の巡りを整えながら、体内にこもった熱を鎮める処方として捉えられています。
    用いられる目安:体力中等度以下で、のぼせ感、肩こり、疲れやすさ、精神不安、いらだちなどがあり、ときに便秘傾向を伴う方に用いられます。
  • 抑肝散(よくかんさん)
    釣藤鈎、柴胡、当帰、川芎、茯苓などを組み合わせた漢方薬です。
    中医学では、神経の高ぶりを鎮め、気持ちを落ち着かせる処方として捉えられています。
    用いられる目安:体力中等度を目安として、神経が高ぶり、怒りやすい、イライラする、不眠などがみられる方に用いられます。

『甲状腺機能低下症』に伴う不調で検討される生薬・漢方薬

ここでご紹介する生薬・漢方薬は、甲状腺機能低下症そのものを治療する薬ではありません

医療機関での治療を基本とし、体質や伴っている不調に応じて使用を検討します。

漢方(中医学)では、疲労感、食欲不振、冷えなどが目立つ場合、胃腸の状態、睡眠、気分、のどの違和感なども確認し、不足した気を補う処方や、滞った気の巡りを整える処方を検討します。

【生薬】

  • 半夏(はんげ)
    体内に偏った水分や「痰(たん)」を取り除くと考えられています。吐き気やのどのつかえ、異物感などが気になる方に検討する生薬です。
  • 厚朴(こうぼく)
    滞った「気」の巡りを整える働きがあるとされます。のどのつかえ、胸や腹部の張り、気分のふさぎを伴うときに用います。
  • 茯苓(ぶくりょう)
    体内に偏った水分の巡りを整え、胃腸の働きを支える生薬です。むくみ、胃腸の不調、気持ちの落ち着かなさなどが重なるときの候補となります。
  • 人参(にんじん)
    不足した「気」を補い、胃腸の働きを支えると考えられています。疲労感、気力の低下、食欲不振が続く方に検討します。
  • 白朮(びゃくじゅつ)
    消化吸収に関わる「脾」の働きを支え、気を補いながら水分の偏りを整えるとされます。疲れやすさ、食欲不振、むくみが目立つときに用いる生薬です。
  • 蘇葉(そよう)
    滞った「気」の巡りを整え、胃腸の働きを支える生薬です。気分のふさぎ、吐き気、のどのつかえなどを伴うときに検討します。
  • 黄耆(おうぎ)
    不足した「気」を補い、体を支える力を高めると考えられています。疲れやすさ、だるさ、気力や体力の低下が続く方に向く生薬です。
  • 甘草(かんぞう)
    不足した「気」を補い、複数の生薬の働きを調和させる役割があるとされます。さまざまな漢方薬に配合されていますが、重複や長期間の服用には注意が必要です。
  • 大棗(たいそう)
    胃腸の働きを支えて「気」を補い、ほかの生薬の働きを調和させるとされています。疲れやすさ、食欲不振、胃腸の弱さが気になるときに用います。
  • 陳皮(ちんぴ)
    滞った「気」の巡りを整え、胃腸の働きを支える生薬です。食欲不振、胃もたれ、腹部の張り、痰などがみられるときに検討します。

【漢方薬】

  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
    半夏、厚朴、茯苓、蘇葉、生姜を組み合わせた漢方薬です。
    中医学では、滞った気の巡りを整え、のどのつかえや体内に偏った水分に働きかける処方として捉えられています。
    用いられる目安:体力中等度を目安として、気分がふさぎ、のどや食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、吐き気などを伴う方に用いられます。
    注意点:甲状腺の腫れやのどの違和感には、ほかの病気が関係していることもあります。自己判断せず、まず医療機関で原因を確認することが大切です。
  • 帰脾湯(きひとう)
    人参、白朮、茯苓、黄耆、当帰、酸棗仁などを組み合わせた漢方薬です。中医学では、胃腸の働きを支えて気や血を補い、疲れた心身を養う処方として捉えられています。
    用いられる目安:体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、貧血、不眠、精神不安などを伴う方に用いられます。
    注意点:疲労感だけでなく、睡眠、精神面、食欲、胃腸の状態などを含めて適否を判断します。
  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
    人参、白朮、黄耆、当帰、陳皮、柴胡などを組み合わせた漢方薬です。
    中医学では、胃腸の働きを支えて不足した気を補い、全身の元気を支える処方として捉えられています。
    用いられる目安:体力が虚弱で元気がなく、胃腸の働きが衰え、疲れやすい方の疲労倦怠や食欲不振などに用いられます。
    注意点:単に「疲れている」という理由だけで選ぶものではありません。食欲や胃腸の状態、ほかの症状なども確認する必要があります。
  • 四君子湯(しくんしとう)
    人参、白朮、茯苓、甘草などを中心に組み合わせた漢方薬です。
    中医学では、胃腸の働きを支え、不足した気を補う基本的な処方のひとつとして捉えられています。
    用いられる目安:体力が虚弱で、やせ気味、顔色が悪い、食欲がない、疲れやすいといった状態の方に用いられます。
    注意点:甲状腺機能低下症の治療薬の代わりになるものではありません。胃腸の状態や体質などを確認したうえで使用を検討します。

【併用・服用時の注意点】

ここでご紹介した生薬・漢方薬は、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症そのものを治療する薬ではありません。

医療機関での治療を基本とし、治療中の不調や体質等に応じて細かなヒアリングを行いその方に適した生薬・漢方薬を検討いたします。

漢方薬には、副作用や相互作用があります。特に甘草を含む漢方薬や医薬品を重ねて服用すると、むくみ、血圧上昇、低カリウム血症、筋力低下などを伴う偽アルドステロン症が起こることもあります。複数の漢方薬や市販薬、サプリメントを併用する場合は、服用しているものを医師や薬剤師に伝えることが非常に重要です。

また、この記事でご紹介した生薬・漢方薬は、あくまで一般的な例です。

同じ症状でも、体質や治療中の病気、服用している薬などによって適する生薬・漢方薬は異なります。自己判断で選ぶと期待した作用が得られないだけでなく、副作用が生じる可能性もあるため、医師や漢方に詳しい薬剤師のいる漢方薬局などの専門家に相談を行い、現在のご自身の状態に合う漢方薬を選んで頂くことが大切です。

ツヅノ薬局での漢方相談

漢方ツヅノ薬局は、1953年創業で70年以上の歴史を持つ、地域に根ざした老舗の漢方薬局です。長年培ってきた知識と経験を活かし、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症に伴う不調についても、これまで漢方相談をお受けしてきました。

甲状腺の不調でご相談にみえる方は、甲状腺機能亢進症よりも、甲状腺機能低下症に伴う不調を抱えた方が多くいらっしゃいます。年代では30〜60代の女性が中心です。

病院で検査や治療を受けたうえで、治療と並行して体調を整えたいというご相談を多くいただいています。

ご相談の中で特に多いのが、喉の腫れや違和感です。

このような場合、気の巡りを整える生薬を中心に、疲労感に対応する生薬を組み合わせて検討します。喉の不調だけを切り離して考えるのではなく、全身の疲れや胃腸の状態、睡眠の様子などもあわせて確認することを大切にしています。

漢方相談では、現在の症状や体質、生活習慣、医療機関での治療内容、服用中の薬なども丁寧にお伺いします。

また、問診に加えて、舌や喉の状態なども目視で確認しながら、必要に応じて生薬の種類や組み合わせ、分量を細かく調整し、一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの漢方薬をご提案します。

漢方薬をご用意するだけでなく、食事、水分の摂り方、睡眠など、毎日の生活に取り入れられる養生法もお伝えしています。服用後も体調の変化を確認し、必要に応じて生薬の組み合わせや分量を調整します。

漢方ツヅノ薬局には、大田区の「平和島本店」と港区の「田町店」の2店舗ございます。

平和島本店は京急線平和島駅から徒歩1分、田町店はJR田町駅から徒歩約3分と、どちらも駅から近く、継続して相談しやすい立地に店舗を構えています。地域の皆様に寄り添いながら、体調や生活環境の変化に合わせた漢方相談を行っています。

甲状腺疾患についてご相談いただく際は、お持ちであれば、甲状腺ホルモンなどの検査結果やお薬手帳をご用意ください。店舗での対面相談のほか、遠方の方やご来店が難しい方に向けたオンライン相談も承っています。

詳しいご予約方法や漢方相談の流れは、「初めての方へ」をご覧ください。

日常生活でできること

甲状腺機能に異常があるときは、医療機関での治療を継続しながら、症状や検査値に合わせて無理のない生活を送ることが大切です。

日常生活で必要な注意点は、病状や治療内容によって異なるため、主治医の指示を優先してください。

こちらでは、甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症の方が日常生活で意識したいポイントをご紹介します。

共通して意識したいこと

甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症では、現れる症状や日常生活での注意点が異なります。一方で、処方された薬を適切に服用すること、十分な休息を取ること、栄養バランスに配慮することは、どちらにも共通する生活上の基本です。

まずは、甲状腺機能の異常がある方に共通して意識したいポイントをご紹介します。

  • 薬を正しく服用する
    自己判断で薬を中断したり、服用量を増減したりすると、甲状腺機能が変化し、症状が悪化することがあります。
    処方された薬は医師の指示に従って服用し、定期的に診察や検査を受けることが大切です。
  • 十分な休息と睡眠を取る
    甲状腺機能に異常があると、動悸、疲労感、不眠、だるさなどが現れることがあります。
    症状が強い時期は無理をせず、十分な睡眠と休息を取ることが大切です。
    ストレスだけが甲状腺疾患の原因というわけではありませんが、心身の負担が続くことで不調を強く感じる場合があります。
    悩みや不安を抱え込まず、必要に応じて周囲の方や医療者へ相談することも大切です。
  • バランスのよい食事を心がける
    甲状腺機能亢進症では体重が減りやすく、甲状腺機能低下症では体重が増えやすくなることがあります。
    極端な食事制限は避け、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事を意識することが大切です。
    ヨウ素(ヨード)は甲状腺ホルモンの材料となる栄養素ですが、過剰に摂取すると甲状腺機能に影響することがあります。
    昆布由来の健康食品やヨウ素を含むサプリメントなどを、自己判断で継続的に摂取することは避け、必要に応じて主治医にご相談ください。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)で気をつけること

甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンが過剰な時期に心拍数が増え、体に負担がかかりやすくなります。

また、バセドウ病では、甲状腺眼症に影響する生活上の要因にも注意が必要です。

症状や検査値を確認しながら生活するうえで、特に意識したいポイントは以下になります。

  • 症状が強い時期は激しい運動を避ける
    甲状腺ホルモン値が高い時期は、動悸や頻脈が起こりやすく、運動が心臓への負担となることがあります。
    激しい運動や重労働は控え、症状や検査値が落ち着いてから、主治医に確認しながら軽い運動から再開することが大切です。
  • 禁煙する
    喫煙は、特に甲状腺眼症の発症や悪化、治療効果の低下に関係することが報告されています。
    バセドウ病や甲状腺眼症*のある方には禁煙が勧められています。
    ご自身だけで禁煙することが難しい場合は、禁煙外来などの支援を利用する方法もあります。

※甲状腺眼症とは、甲状腺の自己免疫異常に関連して、まぶたの腫れ、眼球突出、物が二重に見えるなどの症状が現れる病気です。

甲状腺機能低下症(橋本病など)で気をつけること

甲状腺機能低下症では、疲労感や冷え、筋力低下などにより、日常の活動が負担に感じられることがあります。また、橋本病などの甲状腺疾患がある方では、ヨウ素の摂取量が甲状腺機能に影響する場合があります。

食事を自己判断で極端に制限せず、体調に合わせて運動と休息のバランスを調整することが大切です。特に意識したいポイントは次のとおりです。

  • ヨウ素の過剰摂取に注意する
    橋本病などの甲状腺疾患がある方では、ヨウ素の過剰摂取が甲状腺機能に影響する場合があります。
    特に、昆布由来の健康食品、ヨウ素を含むサプリメントなどを重ねて摂取することには注意が必要です。
    ただし、海藻類を一律に禁止する必要があるわけではありません。必要な制限の程度は病状や治療内容によって異なるため、主治医の指示を優先してください。
  • 症状に合わせて運動と休息を調整する
    甲状腺機能が低下すると、疲労感、筋力低下、筋肉痛、冷えなどが現れることがあります。症状が強い時期は無理な運動を避け、休息を優先することが大切です。
    症状や検査値が安定したら、主治医に相談しながら、散歩やストレッチなどの軽い運動から徐々に再開します。

病院の治療と症状との付き合い方

甲状腺機能の異常が疑われる場合は、まず医療機関でTSHやFT4を測定し、必要に応じてFT3や自己抗体などを調べ、甲状腺機能の状態や原因を確認します。

治療方法は、病気の原因や症状、検査値などによって異なります。

バセドウ病では、抗甲状腺薬、放射性ヨウ素内用療法、手術などから、病状に合った治療方法が選択されます。

甲状腺機能低下症では、必要に応じて甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)を服用します。

一方、甲状腺機能が正常に保たれている橋本病の方は、治療を行わず、定期的な検査で経過を確認する場合もあります。

【早めの受診が必要な症状】

高熱、強い動悸、息苦しさ、意識がもうろうとするなどの症状が急に現れた場合は、甲状腺クリーゼなどの重い状態も考えられます。

救急車の要請を含め、速やかな受診が必要です。また、抗甲状腺薬を服用中に発熱や強いのどの痛みが現れた場合は、無顆粒球症などの重い副作用の可能性があるため、速やかに処方医へ連絡する必要があります。

漢方(中医学)は、甲状腺疾患に対する病院での治療に代わるものではありません。疲労感、冷え、不眠、不安などの症状や体質を「気虚」や「気鬱」などの状態として捉え、病院での治療を基本に、伴っている不調への対応を検討します。

まとめ

甲状腺は、体の新陳代謝などを調節する甲状腺ホルモンを作る器官です。

このホルモンが多すぎる状態を「甲状腺機能亢進症」、不足している状態を「甲状腺機能低下症」といいます。代表的な原因にはバセドウ病や橋本病(慢性甲状腺炎)がありますが、橋本病の方すべてが甲状腺機能低下症になるわけではありません。

動悸、発汗、体重減少、疲労感、冷え、むくみなどの症状だけでは判断できないため、気になる不調が続く場合は医療機関で検査を受けることが大切です。

甲状腺機能の異常でみられる主な症状は、以下のようなものになります。

スクロールできます
甲状腺機能の状態主な症状
甲状腺機能亢進症
(バセドウ病など)
動悸・頻脈・手の震え・暑がり・多汗・イライラ・体重減少など。
※バセドウ病では、眼球突出などの甲状腺眼症を伴う場合もあります。
甲状腺機能低下症
(橋本病など)
疲れやすい・無気力・だるい・寒がり・むくみ・体重増加・皮膚の乾燥など

漢方(中医学)では、病名だけで一律に判断せず、現在現れている症状や一人ひとりの体質を確認します。甲状腺機能亢進症に伴うイライラや不眠などがみられる場合は『気鬱』、甲状腺機能低下症に伴う疲労感や冷えなどがみられる場合は『気虚』に着目することがあります。

同じ甲状腺疾患でも、症状、体質、年齢、体格、生活環境、医療機関での治療内容などによって、適する生薬の種類や組み合わせ、分量は異なります。ネット上の情報だけを頼りに漢方薬を選ぶと、現在の体質や状態に合わず、期待した効果が得られないことがあります。

また、体質に合わない漢方薬の服用を続けることで、副作用が起こる可能性もありますので十分にお気をつけください。

そのため、漢方薬を取り入れる際には、現在の体調、症状の経過、生活環境、治療中の病気、服用中の薬などを専門家に伝え、自分の体質や状態に合う漢方薬を検討することが非常に大切です。

当店【漢方ツヅノ薬局】は、創業1953年の70年以上の歴史を持つ老舗漢方薬局になります。店舗は「平和島本店」と「田町店」の2店舗となり、各店舗で漢方相談を主に行っております。

漢方相談時には、症状や体質、生活習慣、医療機関での治療内容などを丁寧に伺い、必要に応じて生薬の種類や組み合わせ、分量を調整し、その方の”今”の状態に合う漢方薬をオーダーメイドでご提案いたします。

また、私たちは漢方薬の提案だけでなく、食事や睡眠など、日常生活で取り入れられる養生についてもお伝えしています。

●平和島本店

京急線平和島駅から徒歩1分の、地域に根ざした漢方薬局です。大田区・平和島・大森・蒲田を中心に、川崎・京急川崎・横浜方面からも漢方相談を承っています。

1953年の創業以来培ってきた知識と経験をもとに、症状や体質、生活背景まで丁寧に伺い、その方に合う漢方薬をご提案しています。

病院で治療を受けている方からのご相談では、検査結果や服用中の薬も確認しながら、治療内容に配慮して漢方薬を検討します。漢方薬のことだけでなく、食事や睡眠など、日常生活で取り入れられる養生についてもお伝えしています。


●田町店

JR田町駅から徒歩3分、駅から続く歩行者デッキで直結しているため、仕事帰りにも立ち寄りやすい漢方薬局です。港区・田町・三田・芝浦を中心に、品川・新橋・大門・泉岳寺・高輪ゲートウェイ方面からもご相談いただいており、これまでに2万件以上の漢方相談を承っています。

相談時には、現在の症状や体質だけでなく、仕事や家庭での生活リズム、食事、睡眠、服用中の薬なども丁寧に伺います。

そのうえで、必要に応じて生薬の種類や組み合わせ、分量を調整し、一人ひとりの状態や生活に合う漢方薬をご提案しています。日常生活で無理なく取り入れられる養生についてもお伝えしています。


遠方にお住まいの方や、仕事・育児・介護などでご来店が難しい方には、Zoomを利用したオンライン相談を行っています。全国からご相談いただくことができ、ご提案した漢方薬はご自宅まで発送いたします。

オンライン相談でも、症状や体質、生活習慣、医療機関での治療内容、服用中の薬などを丁寧に伺い、必要に応じて生薬の組み合わせや分量を調整します。店舗・オンライン相談のご予約は、電話・LINEなどから受け付けています。

甲状腺疾患が疑われる場合は、まず医療機関で検査を受けることが大切です。そのうえで、「治療中でも不調が続いている」「治療と併用できる漢方薬について相談したい」といったお悩みがある方は、【漢方ツヅノ薬局】までお気軽にご相談ください。

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