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我慢をするシチュエーションは様々で、子供から大人まで日常で生活をしている方は全員例外なく我慢やストレスを感じる瞬間は存在します。
昭和、平成そして令和と時代が移り変わるのと同じように世間の物の見方や考え方は変わってゆくものであります。
我慢とは何か?
辞書を引くと以下のようなことが記載されていました。
【我慢】 がまん [名・形動](スル)
引用元:コトバンク 「我慢」
1 耐え忍ぶこと。こらえること。辛抱。「彼の仕打ちには我慢がならない」「ここが我慢のしどころだ」「痛みを我慢する」
2 我意を張ること。また、そのさま。強情。
「―な彼は…外うわべでは強いて勝手にしろという風を装った」〈漱石・道草〉
3 仏語。我に執着し、我をよりどころとする心から、自分を偉いと思っておごり、他を侮ること。高慢。
「汝仏性を見んとおもはば、先づすべからく―を除くべし」〈正法眼蔵・仏性〉
我慢によって他者を傷つける事は基本的には殆どありません。
まさに、自分自身との戦いです。
昔も今も『我慢』の考え方は変わらない?
私たちの『我慢』に対する考え方は、今も昔も時代に左右されずに変わっていないと思うのは私だけでしょうか?
- 会社で仕事ができる(出世する)人間の1つの条件
- 器の大きい人間の象徴
- 我慢は良いこと、偉いこと etc.
我慢をすることを良しとする空気は、今でも日常・公共の場で肌で感じることがあります。
これが全て悪いわけではありませんが、この我慢の度が過ぎてしまうと自分自身にさまざまな問題が降りかかってきます。
『我慢』は悪いことなのか?
我慢する人は黙っているばかりで自分の意見を言わない卑怯者だと誤解される事もありますが、私は我慢をする人は基本的には優しい人だと考えています。
もし、全員が色々な意見を好き勝手に投げてしまったら収拾がつかなくなります。そのような方々は、その場の調和のために黙って様子を見ているのです。
このようにある程度の自己犠牲によって周りがうまく回れば良いと思っている方が多いです。
しかし、その自己犠牲の部分を犠牲だと思っていない方も多く、指摘されて初めて気付く方もいます。
『我慢』を東洋医学の五行説の観点から考える
そもそも東洋医学や五行説とは何か簡単にご説明します。(別記事で今後詳しくご説明いたします)
東洋医学とは?
東洋医学とは、中医学(中国)を起源とし、日本漢方(日本)、韓医学(朝鮮半島)、チベット医学、インド伝統医学の東アジアの伝統医学を包括して、東洋医学としています。
日本漢方は中国から伝わった後、日本の気候・風土に合わせて発展しました。
五行説とは?
五行学説は、宇宙間の全ての事物は、木・火・土・金・水という5種類の物質の運動と変化によって生成すると考えています。
木・火・土・金・水の間で相互に生み出し、相互に制約するという関係によって、すべての物質世界の運動と変化を説明しています。
五行学説は中医学において、人体の生理、病理、環境との相互関係の理論的根拠して用いられています。
我慢によって影響を受けるのは「肝」です。
五行説のうち五臓は肝、心、脾、肺、腎に分類されます。その中でも肝は我慢やストレスに直面したときに真っ先に影響をうける臓腑(ぞうふ)になります。
肝はストレスによって影響を受けやすいにも関わらずとても打たれ弱いです。
肝が打ちのめされてしまうと精神に影響を受けます。
イライラや落ち込みなど過去の自分と比較すると抱いたことのない負の感情に悩まされてしまう場合があります。昔の自分はこんな人間や性格ではなかったと自分自身を責めてしまう方もいらっしゃいます。
そして精神の不調が慢性的で深いものになっていくと食欲が低下していきます。
これは肝の相剋(そうこく)作用によるものです。
肝と脾には密接な繋がりがあるとされていて、五行説では「肝」は「木」、「脾」は「土」に例えられています。
肝(木)が不調を治すため脾(土)から一気に栄養を吸い上げようとします。すると脾(土)は栄養を抜き取られパサパサとした脾(土)になってゆきます。
このように肝がストレスを受け続けると食欲を司る脾にも影響が及び食欲が低下します。
他にも肝がうちのめされてしまうと、不眠、頭痛、震え、頻回の下痢、めまいなど様々な体の不調を誘発します。
漢方ツヅノ薬局平和島本店、田町店ともに肝のケアに関連するご相談は今も昔も変わらず相談件数の割合としては高い割合を占めています。
肝のケアをしてくれる漢方方剤は多岐に渡るためどれが適している漢方なのか慎重に吟味する必要がございます。
漢方の治療期間には個人差はありますが、副作用はほとんどなく身体に優しくアプローチをかけてくれます。限界を超えた我慢は身体にとって大きな負担になります。知らず知らずのうちに自分自身を追い込んでいるケースは非常に多くあります。何かしらの身体症状が出ているとしたら、それは今の在り方を見つめ直すタイミングかも知れません。
一度立ち止まって自分自身を見つめ直す事は決して格好悪い事ではありません。自身の体と心を整えることで本来の自分らしさを取り戻すことが出来ます。
まとめ
多様性が好まれるこの時代でもまだ『我慢』に対する考え方は変わらずに存在します。
しかし、この『我慢』が自分自身の限界を越えてしまうと自分の身体にさまざまな悪い影響を及ぼします。
東洋医学の五行説で考えると、我慢やストレスに直面したときに真っ先に影響をうける臓腑は「肝」になります。
「肝」は影響を受けやすいにもかかわらずとても打たれ弱いため、精神的な不調をもたらしやすく、それが慢性的になると食欲が低下したり、やる気が起きなくなったり、気持ちが沈むなど心身にさまざまな問題が連鎖的に生じてきます。