【症状】アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎

「鼻アレルギーの全国疫学調査」(2008年)によれば、日本人の約25%が花粉症だと言われています。

くしゃみ・鼻水・鼻づまりといったアレルギー性鼻炎、目のかゆみや充血を起こすアレルギー性結膜炎が代表的な症状です。悪化すると、頭痛やせき、のどのかゆみ、下痢、発熱などの症状を伴います。さらに、さらに、シラカンバ、ハンノキ、イネ科花粉症などの人が、ある果物や野菜を食べると、口の中がかゆくなったり腫れたりする「口腔アレルギー症候群」という症状もあります。

【原因】さまざまな植物の花粉がアレルゲンに

花粉をおしべまで、風の力を使って輸送し受粉させる植物を「風媒花」と言います。花粉症は、主にこの風媒花の花粉を吸入することで発症します。日本では、この風媒花をはじめとする約60種類の植物が花粉症を引き起こすと言われています。春先に大量に飛散するスギの花粉が原因であるものが最も多いですが、ヒノキ科、ブタクサ、イネ科、ヨモギなど他の植物の花粉によるアレルギーを持つ人も少なくありません。

花粉症の原因となる植物 ※時期は関東地方の場合
  • スギ…2月上旬から4月下旬
  • ハンノキ属…2月中旬〜5月上旬
  • ヒノキ科…2月上旬〜5月下旬
  • シラカンバ…4月下旬〜6月上旬
  • イネ科…4月上旬〜10月上旬
  • ブタクサ属…8月上旬〜10月中旬
  • ヨモギ属…9月上旬〜下旬
  • カナムグラ…8月中旬〜10月中旬

【考え方】「風寒」「風熱」の2タイプ

花粉症は、主に「花粉」という外邪(がいじゃ…外的要因)によって「肺」の機能が低下することで発症します。大きく分けて、「風寒(ふうかん)タイプ」と「風熱(ふうねつ)タイプ」の2種類が存在します。

「風寒タイプ」は、寒の邪気のために肺が冷えることによって起こる症状で、サラサラの鼻水、くしゃみなどの症状が多く見られます。

「風熱タイプ」は、熱の邪気のために肺に熱がこもることによって起こる症状で、鼻づまり、目の充血、ドロッとした鼻水などの症状が多く見られます。

【処方例】タイプに応じた処方

「風寒タイプ」には、肺を温めて余分な水を発散させる「温肺化飲」(おんはいかいん)の漢方薬を、「風熱タイプ」には余分な熱と湿を取る「清熱」(せいねつ)の漢方薬を使います。

また、花粉症は体表を守る気である「衛気」(えいき)が不足することにより、外邪の侵入から身体を守れず発症するとも考えられます。この場合は、「衛気」を増やす効果のある漢方薬を使用します。

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