【症状】年齢によって異なる症状が出る皮膚疾患

「アトピー体質」という遺伝性のアレルギー素因を持っている人に発生する、湿疹によく似た皮膚炎です。身体の広範囲に発疹が出るのが特徴ですが、症状は年齢によってかなり変わります。かつては乳幼児期特有の病気で、18~20歳でほとんど治ると言われていましたが、 実際はその年齢になっても治らない人や、一度治っても成人してから再発する人、成人してから初めてアトピー性皮膚炎になる人もいます。最近は、成人期アトピー性皮膚炎が増加しています。

乳児で2ヶ月以上、幼児~成人は6ヶ月以上症状が続くと、アトピー性皮膚炎と診断されます。

アトピー性皮膚炎の、年齢期ごとの主な症状
乳児期

主に、頭や顔などに炎症が起こります。

小児期・思春期

頭や顔から、だんだんと身体や下肢へ炎症が広がります。関節部分にも炎症が起きやすくなります。皮膚の乾燥も目立ちます。

思春期以降・成人期

皮膚は乾燥しがちで、顔や胸、背中、ひじなど上半身全体に湿疹ができやすくなります。掻き壊しを繰り返すと、皮膚が厚く硬化した「苔癬化(たいせんか)」と呼ばれる状態になります。適切な治療が行われないと、全身の皮膚が真っ赤になって角質がはがれ落ちる「紅皮症」になることもあります。

【原因】発症には、体質以外の要因も

アトピー性皮膚炎の原因ははっきりとわかっていません。しかし、「体質」と「環境」の2つが深く関係して発病・悪化すると考えられています。

体質による原因
アトピー素因

アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息など、アレルギー性の病気になりやすいことを示す、生まれつきの体質を「アトピー素因」と言います。ただし、アトピー素因を持っている人が必ずしも発症するとは限りません。

ドライスキン(乾燥肌)

皮膚が乾いた状態を言います。さまざまな原因によって表皮角質層の水分が失われると、皮膚本来のバリア機能が低下してアレルギーの原因となる異物(アレルゲン)や微生物が侵入しやすくなり、手荒れ、肌荒れ、皮膚のかゆみなどの症状が起こります。

環境による原因
食物アレルギー

2歳までの場合、卵、牛乳、小麦や大豆といった食物のアレルギーが発症の原因になることがあります。

ダニ

最近の学説では、ダニの死骸やフンが皮膚表面から皮内に入り込み、皮膚の炎症が起こると言われています。

アレルゲン以外の刺激

汗、衣類による摩擦、乾燥、ひっかき傷、洗剤など、日用品、化粧品などもアトピー性皮膚炎の原因のひとつと言われています。

その他

寝不足、過労、ストレスなどが、アトピー性皮膚炎を引き起こすことがあります。

【考え方】原因は「腎精」の不足と「脾気虚」

乳幼児期に発症するアトピー性皮膚炎は、「先天の精」(腎精:じんせい…人体の成長・発育や生命活動の維持に必要不可欠な物質)の不足に加え、臓腑が未熟なこと、具体的には「脾気虚」(ひききょ…身体の成長と胃をつかさどる臓である「脾」の、消化吸収の力が衰えた状態)が原因と考えられます。脾気虚が主な原因の場合、成長とともに臓腑も成長するため、改善が望めます。

しかし、好ましくない生活環境や飲食の不摂などにより脾・肺・腎のバランスが整わない場合、成長しても脾気虚が改善されないことがあります。

成人してから発症する場合も、根底には脾気虚や体内の水〈水液〉の運行をつかさどる「腎」の機能の失調があると考えられます。そこにストレスなどが加わると、発症に至ることが多いようです。

【処方例】臓腑のバランスを調整します

「皮膚は内臓の鏡」と言われることがありますが、アトピー性皮膚炎の改善には、各臓腑のバランスを取ることが重要です。具体的には、皮膚の症状により、「清熱」(せいねつ…熱を冷まし、余分な水分である「湿」を除くこと)や「補陰」(ほいん…身体を潤し、活動を鎮めるはたらきを持つ「陰液」を補うこと)をしながら、脾や腎の機能を補います。ストレスが強い場合は、「疎肝薬」(そかんやく…肝の気をよく巡らせる薬)などを使い、改善していきます。

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