気象病でもう一つは自律神経のみだれです。

秋の長雨でもなりますが、私の経験では気圧配置が大きく変わる時です。小笠原高気圧 シベリア寒気団の交代時期です。

『春』と『秋』です。どちらかと言えば春の方が自律神経の乱があります。言い換えれば外気の失調によって体の中の気が失調するとかんがえます。体の中の気の失調は多くは漢方では肝の働きが弱くなった時です。

元々肝の働きが弱いわけではなく仕事上のストレスとか又周囲に常に気を配る方、いつも向上心があってやや完全主義のある方など頑張りすぎる方、周囲によく気を使いまわりの人に気をかけて頂ける方に多く見られます

このような方はこの気の変化の時に日頃より肝を使っているため肝の亢進が起き易くなります。
具体的には以下のような症状がおきます。

  • 眩暈、ふらつき
  • 動悸
  • 喉つまり、胸の圧迫感
  • 鬱的、やる気が起きない疲れやすい
  • 下痢、軟便、腹痛

※~⑤まで 自律神経の乱は様々な症状が現れます 又①~⑤まで不安感を伴います。

自律神経の乱は予期不安を必ずともないます。 この予期不安を解消することが肝心です。

予期不安「~したら」「~になってしまうどうしよう不安になる」

例えば、動悸がしてどきどきする。もしかして心臓が悪いのではどうしよう、不安になる。頭が痛い。もしかして脳血管障害なのかもしれない、どうしよう不安になる。又フラフラする、ここで倒れたらどうしよう不安になる。電車に乗って以上のような症状が出るどうしよう不安になる。このままでは会社に行けないどうしよう、と更に不安になる。

このようなことを訴えます。この予期不安に対処すことが肝心です。

① 眩暈、ふらつき

元々脾が弱く体に湿が溜まりやすいため天気が悪いと(外湿)体の中にさらに湿が(内湿 外湿が重なる)入って眩暈がするとなりますこの場合の眩暈はどちらかというとやや回転性のめまいです。

所謂 ふらふらする眩暈は湿の停滞もあるがそれ以上に肝の亢進(より自律神経の乱)気が失調して上にのぼせ、下に冷えがある状態でそこに風動が起こりふらつくという場合です。

前者は利水剤が多く入った処方で苓桂朮甘湯 五苓散などが考えられます。 
後者の場合は疏肝理気薬を中心に使います柴胡疏肝湯 四逆散を使います。 

更に風動に対して釣藤 天麻などが入ったものを一緒につかいます。 釣藤散 半夏白朮天麻湯 等があります。

② 動悸、胸の圧迫感

一般的には、桂皮や甘草が入っている漢方薬を考えます。さらに重鎮安神剤の竜骨と牡蛎が含まれているものを使います。
また、桂枝甘草竜骨牡蛎湯を使います。エキス剤はないため、桂枝加竜骨牡蛎湯を代用して使います。

疏肝する柴胡が入っている柴胡加竜骨牡蛎湯もよく使います。
柴胡加竜骨牡蛎湯は重鎮安神の竜骨牡蛎と養心安神の人参もはいり痰湿をとる半夏 茯苓も入って幅広く使えます。
大黄(気を下すため)が入っているため長期に服用するとやや軟便又下痢もしやすくなります。

その時は四逆散 柴胡疎肝湯に竜骨牡蛎そして人参末などを加えて対処することもできます。

胸の圧迫感は、肝の経絡に沿って起きるので疏肝理気する柴胡疎肝湯 四逆散に半夏厚朴湯を合わせて作ります。 柴朴湯も良く効きます。以前小柴胡湯の副作用で間質性肺炎が騒がれたことがあります。小柴胡湯の方中で黄今という生薬のアレルギーかといわれます。

柴朴湯は小柴胡湯合半夏厚朴湯なので四逆散合半夏厚朴湯にすれば黄今が入らずに服用できます。喉の違和感にも応用できます。

③ 喉の閉そく感、異和感

昔から梅核気という言葉で漢方の本に記述されています。

うめの種がのどに詰まった感じで息苦しさを訴える方です。もしかして喉頭癌かと不安になります。 昔より半夏厚朴湯をつかって良く効いています。 本には奔豚の病として書かれることもあります。豚がおなかの底の中から跳ね上げる感じで息苦しくなる感じをうったえます。

本では奔豚湯を使うと良いと書いていますが方中の李根皮他9種類の中で李根皮が手に入らないため現在は使われていません。気を巡らさせる香附子下げる枳実 などの入った漢方薬と組み合わせて対処しています。

半夏厚朴湯のほか柴朴湯も使います。のどのつまりを訴える方は同時に胸の圧迫感も訴えるので肝の経絡に沿った張った感じなので柴胡剤を併用します。柴朴湯は小柴胡湯合は半夏厚朴湯なので先程示したように長く使うときは小柴胡湯の変わりに柴胡疎肝湯、四逆散なども考えます。

柴朴湯は私が若い頃は良く使っていました。
間質性肺炎など考えもしませんでした 事実そのようなことはありませんでした。 念には念を入れてお客様に差し上げる漢方薬を選んで差し上げています。

④ 鬱的、疲れやすい

気鬱と言います。精神的な疲労です。

同時に肉体的にも疲れやすい方です。通常より少々のことで疲れを訴える方です。

漢方の考え方では気虚の方と考えます。 五行説では脾が弱いので食事をしても消吸収が弱いためどちらかというと太りにくいタイプです。

このような方がこの時期に自律神経の乱れ(肝の失調)で肝脾不和(交感神経の過剰で食が進まない、下痢しやすいなど)がおこり余計に疲れやすくなる方です。

より脾が弱い方には補気剤を中心に肝の失調が強い方には疏肝理気薬を中心に選びます。 
処方では補気剤では 補中益気湯 四君子湯 疎肝理気薬では、柴胡疎肝湯や四逆散などです。場合によっては半夏厚朴湯を選ぶこともあります。

⑤ 下痢、腹痛

この時期自律神経の乱で軟便を訴える方もいます。

先程 申し上げた 五行説に従えば肝脾不和によって(自律神経の乱で下痢 軟便)下痢 軟便 になるかたです 例えば外出するときここで下痢になったらどうしよう不安になるという方です特に電車のような場合は余計です。

もともと脾が弱く体の中に湿が多い方におおくみられます。

このような方には肝脾不和を治す疏肝理気薬と健脾利水剤をさしあげます。

この時症状によって疏肝理気薬をより多くするのか?
より生来より脾が弱いため身体の中の湿が多いため(少々のことで下痢しやすい)より脾を丈夫にさせるか?

疎肝理気薬は 柴胡疎肝湯 四逆散  健脾利湿剤は 五苓散 加味平胃散 香砂六君子湯 などを考えます。

この記事を書いた人

ツヅノ漢方薬局 代表取締役社長 廿野 延和 – Tuzuno Nobuyasu –

1953年創業、漢方相談70年の歴史を持つ漢方ツヅノ薬局の代表取締役社長。50年以上にわたって漢方相談の現場に立ち続け、数多くの方のお悩みに向き合ってきました。

特に多くのご相談をお受けしてきたのが、自律神経失調症・不安神経症・パニック障害など、自律神経の乱れによる不調です。この記事でご紹介した「予期不安」への向き合い方も、教科書の知識だけではなく、数多くのご相談の中で積み重ねてきた経験から生まれたものです。

大切にしているのは、じっくりお話を聞くカウンセリング。症状だけでなく、性格や生活、不安の中身までお聞きしたうえで、体質や服用期間に合わせて生薬の組み合わせまで丁寧に選びます。自社で漢方勉強会を開き、相談員の育成にも力を注ぐ、ツヅノ薬局の「相談の要」です。

主な実績・経歴

  • 漢方ツヅノ薬局(1953年創業/平和島本店・田町店)代表取締役社長
  • 漢方相談歴 50年以上  薬剤師
  • 主なご相談:自律神経の乱れ(めまい・動悸・不安感・喉のつまり)、不安神経症、パニック障害、坐骨神経痛、膝の痛み・脊柱管狭窄症によるしびれ etc.
  • 大森薬剤師会 協同組合理事長などを歴任
  • 自社の漢方勉強会で相談員を育成

代表からひとこと

季節の変わり目のつらさは、検査で異常がないと、周りになかなかわかってもらえないものです。

「また症状が出たらどうしよう」と一人で抱え込まず、まずはお話を聞かせてください。あなたの体質と暮らしに合った漢方を、一緒に考えていきましょう。


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