【 “漢方” と “免疫” 】なぜ風邪の引き始めには「葛根湯」なのか

目次

『実証(じっしょう)』と『虚証(きょしょう)』

漢方薬は、昔から様々な「証(しょう)」に基づいて生薬を選びます。
「証」とは、その人の体質、体力、今の症状等を表すものです。
そのうちの一つに『実証』『虚証』があります。

【実 証】

「気」と「血」が多いタイプ

  • 体力があり、スポーツが好き
  • 体を鍛えていて、筋肉質
  • 胃腸が丈夫で食欲旺盛
  • 「冷え」に強い


【虚 証】

「気」と「血」が不足しているタイプ

  • 女性に多く、やせ型傾向
  • 運動をあまりせず、筋肉が少ない
  • 炭水化物や甘いもの(糖質)を好み、肉や魚(タンパク質)をあまり取らない
  • 体が冷えやすい

『風邪』に使われる漢方薬

代表的な生薬は、「麻黄(まおう)」「桂皮(けいひ)」「生姜(しょうきょう)」などです。

「風邪」にもいろいろなタイプがあります。
症状や「証」を考慮して生薬を選びます。
寒気があって熱が出るとき、「辛温解表薬(しんおんげひょうやく)」(体を温めて病邪を追い出す)を中心に作ります。
代表的な漢方薬は、「麻黄湯(まおうとう)」「葛根湯(かっこんとう)」「桂枝湯(けいしとう)」です。

1.「麻黄湯」

【構成生薬:麻黄、桂皮、杏仁、甘草】

発散させる「麻黄」が多く、発熱して無汗の時は、「麻黄湯」で発汗させて治します。
体を補う生薬が少ないため、「実証」の人向きです。 「杏仁(きょうにん)」が入っているので、咳があっても対応できます。

2.「葛根湯(かっこんとう)」

【構成生薬:葛根、麻黄、桂皮、芍薬、大棗、生姜、甘草】

麻黄」「桂皮」は「辛温解表剤」ですが、「葛根(かっこん)」は「辛涼解表剤」です。
葛根」はくず切り、くず餅でも知られるように、少し粘稠性があります。
この性質により体の津液(体液)を補います。

芍薬(しゃくやく)」は「肝血(かんけつ)」を補います。
全体で発散しながら、同時に少し補う処方です。

多少気血が少ないタイプ(中間証)でも使用でき、麻黄湯より使いやすく、幅広く使える薬です。
発熱して無汗の時は、多めに飲むと効きめがよいです。
咳が出る場合は「杏仁」が入っている「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」をおすすめします。

3.「桂枝湯(けいしとう)」

【構成生薬:桂皮、芍薬、大棗、甘草、生姜】

気血の少ないタイプ(虚証)には「桂枝湯」を使います。
「葛根湯」から「葛根」「麻黄」を除いたものです。
発散能力が弱い体質なので、漢方薬の服用時に、温かいもの(おかゆ、うどんなど)を同時に食べる(飲む)と良く効きます。

漢方薬と免疫

風邪の原因は、多くはウィルス性(または細菌性)のものと考えられます。
体は、免疫を高めるために発熱します。
上記のような体質(証)に合った漢方薬は、体内の体液性免疫、細胞性免疫を活性させ、体を治していると考えられます。風邪のような急性の病気に、その効果ははっきり現れます。

病名ではなく、一人一人の症状と体質を見て使用する漢方の判断をさせていただいております。
そのため上記以外の漢方を使わせていただくこともございます。
是非、一度ご相談ください。

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